4月18日 発明の日
1885(明治18)年のこの日に専売特許条例(特許法)が公布されたことを記念しています。工業所有権制度の普及・啓蒙を図ることを目的として、1954(昭和29)年1月28日日通商産業省(経済産業省)省議決定に基づいて制定され、同年4月18日に施行されました。
記念日アニメ
発明に関する昔話
(大阪の民話)
鳥になったかさ屋
福娘童話集より
むかしむかし、河内の国(かわちのくに→大阪東部)に、かさ屋のまさやんという若者がくらしていました。
まさやんは、毎日毎日、ただ、だまってかさをはりつづけておりました。
「お〜い、まさやん、せいが出るのう」
「ああ、おかげさんで」
まさやんは、通りがかりの村の人が声をかけたときだけしか声を出しません。
天気のよい日には表に道具を出して、空をとぶ鳥を見あげながらしごとをするのが、まさやんのたった一つの楽しみです。
「気持ちええやろなあ。あんなふうに、空をとべたらなー」
そんなある日のこと、かさが一つ、風にとばされてしまいました。
かさが一本でもなくなれば、その日はごはんが食べられません。
「うわっ、待てえ!」
と、とんでいくかさを、まさやんはひっしでおいかけました。
「とっ!」
と、かさにとびつくと、まさやんのからだは、フワッと宙にうきました。
でも、すぐに地面におちてしまいました。
「おお、いたっ!」
ドスンと打ったおしりをなでながら、しばらくポカンと空を見あげていたまさやんは、ふと、おもしろいことを思いついたのです。
「そうや、これや!」
それから、三日がたちました。
(ようし、これから、空をとんでみせるぜえ)
まさやんは屋根の上に立って、かさをひろげました。
これを見た村の人たちは、おどろいて屋根の下にあつまってきました。
「お〜い、まさやん、なにをはじめるんじゃい?」
「へい。これから、空をとぼうと思いますねん」
「空をとぶ? そんなあほなこと、やめとかんかい」
みんながとめるのも聞かず、まさやんはとびました。
いえ、とんだつもりです。
「うっ、ういたぞ、ういたぞ」
と、思ったとたん、見物人の目の前にドスーン。
「まさやん、けがはないかい」
まさやんは、ちょっぴりはずかしそうに頭をかきながらいいました。
「へへへ、だいじょうぶや。だいじょうぶや」
それからというもの、まさやんは空をとぶことにむちゅうで、夜も昼もそのことばかり考えていました。
「そうや、もっともっと大きいのをつくらんとな。大きくてじょうぶなやつを」
まさやんは、商売のかさはりをほうりだして、ごはんが食べられなくても気にしません。
はらがへれば水をのんで、夜中までむちゅうになって空とぶかさづくりをつづけます。
それから、何日めかの朝のことです。
「でけたぞう。これだけ大きければ、まちがいあらへん。そや、こんどは屋根より高いところからとんでみよう」
まさやんは、大きなかさを持って、えっちらおっちら歩きだしました。
まさやんのお目あては、村でいちばん高いスギの木でした。
「でっかいかさやなあ。またとぶつもりやで」
「こんどは、この上からとびおりるんか? あんな高いところからとんだら、死んでしまうがな」
心配した村の人たちが、いっしょうけんめいとめましたが、まさやんはすこしも気にせずニッコリわらって、すぎの木のてっぺんへとのぼっていきました。
「うわあ、高いなあ。こうしてながめると、家も人間も小さいもんや。あんな小さな家の中で、ゴチャゴチャいうてくらしとるんかいなあ。それにくらべて、烏たちは広い広い空でせいせいしとるんやろなあ」
そしてとうとう、まさやんはかさをひろげました。
「うわっ、かさひろげよった!」
「うわっ、とびよった!」
と、思ったけれど、またまたしゅっぱい。
わらの山の上に、ドスーン。
でもまさやんは、それでもこりません。
夜になると、またゴソゴソなにかをはじめました。
「数をふやせばだいじょうぶや」
つぎの日、まさやんはまた、すぎの木の上へのぼりましたが、またもやわらの上ヘドスーン!
これを何回くりかえしたことでしょうか。
何回やってもしっぱいするので、いまではもう、見物人もあつまりません。
しかし、まさやんはかさをかついで、きょうも出かけていきます。
村の人たちは、あきれ顔でいいました。
「まだやっとる」
「病気じゃのう」
「アホや」
まさやんは今日もスギの木の上に立ちました。
でも、いつもとちがって、すぐにはとびません。
なにやら待っているようすでした。
しばらくして、ソヨソヨとスギの葉が風でゆらぎます。
「きたきた、でも、まだとばんでえ」
だんだん風が強くなってきました。
「よし、いまや!」
まさやんはとびました。
フワリ。
ひろげたかさといっしょに、空へまいあがります。
「やった! 鳥や、これが鳥の気分や。せいせいするでえ。あはは」
まさやんが空をとんだうわさは、殿さまの耳にもとどいて、村は大さわぎとなりました。
まさやんの家には、おおぜいの人たちがあつまってきました。
「まさやん、殿さまが空とぶかさを買いたいんやと。お金はなんぼでも出すと。殿さまは、そのかさで敵の城を空からせめるおつもりなんや」
「それがうまくいってみい。まさやんはお城づとめや。いやいや、さむらい大将ぐらいになれるかもしれん」
あんなにまさやんのことをばかにしていた村の人たちも、みんなでまさやんをほめはじめました。
「たいへんな出世やでえ。うらやましいなあ」
ところが、まさやんはというと、とってもこまったようすです。
「えらいことになったなあ。いっそ、このかさをこわしてしまおうか。いやいや、そんなことしたら、お殿さまのいいつけにそむいたと、ころされてしまうわ」
まさやんは、ただ自分が空をとびたくてつくったかさが、いくさの道具につかわれるのがいやだったのです。
ひとばん考えたまさやんは、つきの日のタ方、かさをかかえてコッソリ家をぬけだすと、スギの木のてっぺんから秋の夕空高くとびたちました。
かさをひろげてとぶ人間を見て、鳥たちはビックリ。
「鳥よ。いっしょにいこか」
かさ屋のまさやんは、そのまま消えてしまったのです。
おしまい
他の記念日
よい歯の日
日本歯科医師会(日歯)が1993(平成5)年に制定。
「よ(4)い(1)歯(8)」の語呂合せ。
よい刃の日
「よ(4)い(1)刃(8)」の語呂合せ。
三重県民の日
1976(昭和51)年、三重県が置県100年を記念して制定。
1876(明治9)年、度会県が三重県に併合され、三重県が現在の形になりました。
世界アマチュア無線の日
1925年、パリ・ソルボンヌ大学(現在のパリ大学)で世界アマチュア無線連合(IARU)が創設されました。
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