6月12日 恋人の日
記念日アニメ
恋人に関する昔話
(マケドニアの昔話 → 国情報)
月の夜の訪問者
福娘童話集より
むかしむかし、あるところに、なかのいい若者と娘がいました。
二人は日がしずむと、村はずれの川辺であっては、将来(しょうらい)のことをかたりあいました。
ある日、春もおわるころ、若者が仕事で旅にでることになったので、娘にしばらくの別れをつげて、自分の金の指輪(ゆびわ)をはずして、娘の薬指にはめてあげました。
「かえるときまで、これはきみがもっていてくれないか」
「うん。じゃあ、これを」
娘も、自分の指から銅の指輪をぬきとり、若者の小指にはめました。
「きっと、秋の収穫(しゅうかく)のころまでにはかえってくるからね」
若者は、そう約束をしました。
夏のあいだ、娘は毎日のように、若者とあっていた川辺にやってきては、シラカバの木にもたれ、たのしかった日びをおもいだしていました。
ところが秋になっても、若者は村にかえってきません。
金色の葉はすぐにおちてしまいましたが、それでも若者からは、なんのたよりもありませんでした。
村に初雪(はつゆき)がふった日、娘は友だちにさそわれて、ひと晩とまりにいきました。
ほかに友だちも二人きていて、四人でいっしょに糸をつむいだり、はなしをしたりして、とてもにぎやかに夜をすごしていました。
歌をうたったり、お菓子をたべたりしていましたが、そのうち話がはずんで、自分たちの恋人の話になりました。
そして、旅にでた若者をまちわびている娘がいいました。
「ねえみて、この金の指輪。あの人がわかれるときに、わたしの指にはめてくれたのよ。これをはずせる人なんて、この世にたった一人だけ、あの人しかいないのよ」
「でも、そんなにあなたをおもっているのなら、かえってきてもいいころなのにね。どうしたの? だいじなあなたのその人は」
と、友だちの一人がいいました。
「・・・・・・」
朝からの雪がふりつもって、あたりはまっ白です。
ソリのスズの音が、とおくからちかづいてきては、またとおざかっていきました。
「あのソリは、なんだろうね」
「うちにくるかとおもうと、またいっちゃうし」
四人で糸をつむいだり、外をながめたりしていると、ちょうどま夜中になったころ、スズの音が家のそばまできてピタリとやみました。
「ねえ。さっきのソリがきたよ」
一人の娘がそういったとき、とびらをたたくものがいました。
こんな夜ふけにだれだろうと、みんなでおそるおそるまどの外をのぞいてみると。
「黒い外とうをきているわ」
「わかい男の人のようよ」
「どれ、わたしにも見せて」
そして、娘がよくみると、旅にでた自分の恋人がたっていたのです。
「ごらんなさい! かえってきたのよ、わたしのいい人が!」
娘はよろこんでとびらをあけると、若者にとびつきました。
「まあ! すっかりひえてるじゃないの。こんなにつめたくなって。さあ、暖炉(だんろ)にあたって」
と、手をとって中にいれようとしましたが、若者は、火のそばにはいきませんでした。
「じゃあ、わたしといっしょに家にかえろう」
すると、娘の友だちは、
「こんな夜ふけだから、あしたにしたら」
と、ひきとめましたが、でも娘は、
「うん。でも、二人で家に帰るわ。糸つむぎのつづきは、またあしたにしましょう」
と、友だちにさよならをつげて、若者のソリに乗りました。
娘が若者にかたをよせたとき、若者のからだがあんまりつめたいのでビックリしましたが、若者の小指に銅の指輪をはめているので、ニッコリとほほえみました。
「さあ、あなたの家につれていって」
やがて雪がやんで、月の光があたりを銀色にてらしました。
二人は、月の夜道をよりそって、ソリをはしらせました。
でもそれっきり、二人のすがたをみたものは、だれ一人ありませんでした。
おしまい
他の記念日
バザー記念日
1884(明治17)年、日本初のバザーが開かれました。
鹿鳴館で上流階級の女性たちが手工芸品を持ち寄って開いたもので、3日間の入場者は1万2千人に上りました。
宮城県民防災の日
1978(昭和53)年、M7.5の宮城県沖地震が発生し、死者28人を出す大惨事となりました。
県民の防災意識を高めるため、宮城県各地で防災訓練が行われます。
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