10月2日 望遠鏡の日
1608(慶長13)年のこの日、オランダの眼鏡職人ハンス・リッペルスハイが遠くのものが近くに見える眼鏡、つまり望遠鏡を発明しました。特許をオランダの国会に提出しましたが、原理が単純すぎたため、申請は却下されたといいます。
記念日アニメ
望遠鏡に関する昔話
(彦一 話)
天狗の隠れみの
福娘童話集より
昔、ある村に彦一(ひこいち)という男が住んでいました。
小さい頃から頭が良くて、ずいぶんととんちがきくのですが、ひどいなまけ者で、そのうえお酒が大好きでしたから、いつも貧乏でした。
彦一の夢は、毎日、たらふく酒を飲むことです。
「なにかうまい知恵は、ないもんじゃろうか?」
考えているうちに、ふと、てんぐの隠れみの(それをかぶると、姿が消える、てんぐの宝物)のことを思い出しました。
てんぐは、村はずれの丘に、ときどきやってくるといいます。
彦一は、ごはんを炊くときにつかう、火吹き竹を持って丘にくると、
「やあ、こいつはええ眺めじゃ。大阪や京都が手にとるように見える。見えるぞ」
そういいながら、火吹き竹を、望遠鏡のようにのぞいていると、まつの木のそばから声がしました。
「彦一どん、彦一どん。のぞいているのは、かまどの下の火を吹きおこす、ただの火吹き竹じゃろうが」
声はしますが、目には見えません。
てんぐが近くにいるのです。
「火吹き竹に似た、干里鏡(せんりきょう)じゃ。おお、京の都の美しい姫がやってきなさったぞ。牛に引かせた車に乗っておるわ」
「京の都の姫だと。彦一どん、ちょっとでよいから、わしにものぞかせてくれんか」
てんぐは彦一のそばにきたようすです。
「だめだめ。この千里鏡は、うちの宝物。持って逃げられては大変じゃ」
そのとたん、目の前に大きなてんぐが姿を現しました。
「大丈夫、逃げたりはせん。だけど、そんなに心配なら、そのあいだ、わしの隠れみのをあずけとこう」
「うーん、それじゃ、ちょっとだけだぞ」
彦一はすばやく隠れみのを身につけると、さっさと逃げ出しました。
てんぐは、火吹き竹を目にあててみましたが、中はまっ暗で、なにもうつりません。
だまされた、と、気がついたときは、彦一の姿は、影も形もありませんでした。
隠れみのに身を包んだ彦一は、さっそく居酒屋(いざかや→お酒をだす料理屋)にやってくると、お客の横に腰をかけ、徳利(とっくり→お酒の入れ物)のまま、グビグビと飲みました。
それを見たお客は、目を白黒させました。
「とっ、徳利が、ひとりでに浮き上がったぞ!」
たらふく飲んだ彦一は、ふらつく足で、家に逃げて帰りました。
「これは、べんりな物を手に入れたわ」
隠れみのさえあれば、いつでも、どこでも、好きな酒を飲むことができます。
つぎの朝。
きょうも、ただ酒を飲みにいこうと、とび起きた彦一は、大事にしまいこんだ隠れみのが、ないことに気がつきました。
「おっかさんよ。つづら(衣服を入れるかご)の中にしまいこんだ、みのを知らんか?」
「ああーっ、あのきたないみのなら、けさがた、かまどで燃やしたわ」
「な、なんやと!」
のぞきこんでみると、みのはすっかり燃えつきています。
彦一はぶつくさいいながら、灰をかき集めて、からだにぬりました。
どうやら、隠れみのの効果は、灰になってもあるらしく、灰をぬったところが、透明になりました。
町では、昼間から酒を飲ませている店がありました。
彦一は、さっそくお客のそばにすわると、徳利の酒を横取りしました。
それを見たお客は、「わっ」と、悲鳴をあげました。
「みっ、見ろ。めっ、目玉が、わしの酒を飲んでる!」
隠れみのの灰は、目玉にだけぬってなかったのです。
「ばけものめ、これをくらえ!」
お客は、そばにあった水を彦一にかけました。
するとどうでしょう。
からだにぬった灰がみるみる落ちて、はだかの彦一が姿を現しました。
「あっ! てめえは、彦一だな! こいつめ、ぶん殴ってやる!」
「わっ、悪かった、許してくれー!」
彦一はそういって、すっぱだかのまま逃げ帰ったそうです。
おしまい
他の記念日
豆腐の日
日本豆腐協会が1993(平成5)年に制定。
「とう(10)ふ(2)」の語呂合せ。
関越自動車道全通記念日
1985(昭和60)年、関越トンネルが開通し、東京〜新潟間の関越自動車道が全線開通しました。
スヌーピーの誕生日
1950(昭和25)年、チャールズ・シュルツ作の漫画『ピーナッツ』がアメリカの新聞7紙で掲載を開始しました。
飼い主のチャーリー・ブラウンもこの日が誕生日となります。ただし、スヌーピーが登場するのは2日後の10月4日号からです。
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