12月4日 破傷風血清療法の日
1890(明治23)年この日、エミール・ベーリングと北里柴三郎が、血清療法開発につながる破傷風免疫体を発見したことから、記念日とされています。血清療法とは、抗体のある血清を患者に注射し、体内に入った毒素を中和して無力化する治療法です。
記念日アニメ
病気に関する昔話
(日本の昔話)
たのきゅう
福娘童話集より
むかしむかし、あるところに、たのきゅうという旅の役者がいました。
おかあさんが病気だという手紙がきたので、大急ぎでもどってきました。
ところが、ある山のふもとまでくると、日が暮れてしまいました。
でも、たのきゅうは親孝行者だったので、早くおかあさんに会いたいと、そのまま山を登りかけました。
すると、茶店のおばあさんがたのきゅうに、いいました。
「およしなさい。この山には、大きなヘビがいるから、夜はあぶないよ」
でも、たのきゅうは、病気のおかあさんが心配なので、山へ登っていきました。
そして、峠でひと休みしていると、しらがのおじいさんが出てきていいました。
「おまえさんは、だれだ?」
「わしは、たのきゅうというもんじゃ」
と、たのきゅうは、答えました。
だけど、おじいさんは「たのきゅう」を「たぬき」と、聞きまちがえました。
「たぬきか。たぬきなら、化けるのがうまいだろ。さあ、化けてみろ。わしは大ヘビだ。わしも化けているんだ」
大ヘビと聞いて、たのきゅうはビックリ。
「さあ、はやく化けてみろ。それとも、化けるのがへたなのか?」
ブルブルとふるえていた、たのきゅうですが、大ヘビにへたと言われて、役者だましいに火がつきました。
「まっていろ、いま、人間の女に化けてやる」
たのきゅうは、にもつの中から取り出した女のかつらと着物を着て、おどって見せました。
「ほほう、思ったよりじょうずじゃ」
と、おじいさんは、感心しました。
そして、
「ときに、おまえのきらいな物は、なんじゃ?」
と、聞きました。
「わしのきらいなのは、お金だ。あんたのきらいな物は、なんだね?」
たのきゅうも、たずねました。
「わしのきらいな物は、たばこのヤニと、かきのシブだ。これをからだにつけられたら、しびれてしまう。おまえは、たぬきだからたすけてやるが、このことはけっして、人間にいってはならんぞ。じゃ、今夜はこれで別れよう」
そういったかと思うと、おじいさんの姿は、見えなくなってしまいました。
たのきゅうは、ホッとして山をおりました。
ふもとに着くと、ちょうど夜が明けました。
たのきゅうは、村の人たちに、タベ、大ヘビから聞いた話をしました。
「と、いうわけだから、たばこのヤニと、かきのシブを集めて、大ヘビのほら穴に投げ込むといい。そうすれば、大ヘビを退治できて、安心して暮らせるというもんじゃ」
それを聞いて、村の人たちは大喜びです。
たばこのヤニと、かきのシブを、できるだけたくさん集めて、大ヘビのほら穴に投げこみました。
「うひゃーあ、こりゃあ、たまらねえ!」
大ヘビは死にものぐるいで、となりの山に逃げ出して、なんとか命だけは助かりました。
「こりゃあ、きっと、あのたぬきのやつが、わしのきらいな物を人間どもにしゃベったにちがいない。おのれ、たぬきめ! どうするか覚えてろ!」
大ヘビは、かんかんになっておこりました。
そして、たのきゅうが、いちばんきらいな物は、お金だということを思い出しました。
そこで、大ヘビは、できるだけたくさんのお金を集めて、たのきゅうの家をさがして歩きました。
そして、やっと、たのきゅうの家をさがしあてましたが、戸がピッタリしまっていて、中にはいれません。
「さて、どうやってはいろうか? ・・・うん?」
そのとき、大ヘビは、屋根にあるけむり出し口を見つけました。
「それえっ、たぬきめ、思い知れっ!」
大ヘビは、けむり出し口からお金を投げこんでいきました。
おかげで、たのきゅうは、大金持ちになり、おかあさんの病気もなおって、しあわせに暮らしましたとさ。
おしまい
他の記念日
E.T.の日
1982(昭和57)年、映画『E.T.』が日本で公開されました。
観客は1000万人を突破し、1998年に『タイタニック』に抜かれるまで最高の配給収入を記録していました。
E.T.は"Extra-Terrestrial"の略で「地球外生物」のことです。
聖バルバラの日
3世紀ごろ、キリスト教に帰依した少女バルバラは、父・ディオスクルスによって役人に告発され、改宗するように拷問を受けましたが信仰を捨てませんでした。ディオスクルスは自らの手でバルバラを殺すよう命令され、この日その命令に従いましたが、その直後ディオスクルスは雷に打たれて亡くなりました。
バルバラが獄中で壷にいけておいた桜桃のつぼみが、処刑の日に花を咲かせたとされることから、この日、桜桃の枝を壺にさす習慣があります。
また、この日に皿に入れた水に小麦を浸しておき、クリスマスごろの芽の出方で翌年の豊凶を占う風習もあり、これを「バルバラの麦」といいます。
この日の雪を「白い衣装のバルバラ」といい、雪の量が多いと翌年は豊作になるとされています。
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