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12月17日 ライト兄弟の日

12月17日 ライト兄弟の日

この日は「飛行機の日」ともいいます。
1903(明治36)年、アメリカ・ノースカロライナ州のキティーホークで、ウィルバーとオーヴィルバーのライト兄弟が動力飛行機の初飛行に成功しました。
4回の飛行を行い、最高記録は飛行時間59秒で飛行距離が256メートル、飛行機の名は「フライヤー1号」でした。

記念日アニメ
ライト兄弟の日

飛行に関する昔話
(アラビアンナイト)

空飛ぶじゅうたん
福娘童話集より

空飛ぶじゅうたん

 むかしむかし、インドのある王さまには、三人の王子がいました。
 王子たちの名まえは、「フーセイン」、「アリ」、「アーメッド」です。
 また王さまは、なくなった兄の娘の「ヌーロニハル」もかわいがって、いっしょにお城にすまわせていました。
 さてある時、とてもこまったことがおこりました。
「ヌーロニハルと結婚したいのです」
と、王子たちが三人ともいい出したのです。
 でも、三人と結婚するわけにはいきません。
 王さまは、考えたすえにいいました。
「では、この世で一番めずらしいものを見つけてきた者に、姫との結婚をゆるすとしよう」
 そこで王子たちは、めずらしいものを探すためにべつべつに旅に出て、帰りに宿屋でおちあいました。
「ほら、ぼくのめずらしいものはこれだぞ」
 三人はとくいになって、手に入れたものを見せあいました。
 フーセインは、自由に空をとべるじゅうたん。
 アリは、どんな遠いところでも見えるぼうえんきょう。
 アーメッドは、においをかぐと病気がなおるリンゴでした。
 そして三人でぼうえんきょうをのぞくと、ヌーロニハルが病気で苦しんでいるのが見えたのです。
「大変だ! すぐに帰らないと」
 三人は空とぶじゅうたんにとびのって、お城ヘかけつけました。
 そして魔法のリンゴのおかげで、ヌーロニハルはたちまち元気をとりもどしました。
 王さまは大よろこびのあと、大よわりです。
 三人の持ってきた三つの品はどれもめずらしいもので、どれもヌーロニハルを助けるのに役だったからです。
 考えなおした王さまは、いいました。
「矢を一番遠くまで飛ばしたものを、姫のむこにきめるとしよう」
 そこで王子たちはならんで、矢をはなちました。
 アーメッドの矢が一番飛んだのですが、飛びすぎてどこかへいって見つからないので、王さまは二番目に遠くまでとばしたアリをむこにきめました。
「見つからないからだめだなんて、こんなくやしいことがあるもんか!」
 アーメッドはがまんできずに、矢をさがしてどんどん歩いていきました。
 矢は、山のふもとの岩の上におちていました。
「おやっ? 岩にとびらがあるぞ」
 アーメッドがとびらをあけると、そこには美しい姫がたっていました。
「ようこそ、アーメッドさま。わたしはぺリパヌー姫ともうします」
 アーメッドは、ひと目でぺリパヌー姫に心をひかれました。
 やがて二人は結婚し、幸せな月日がすぎました。
「いちど、父上にあいにいってこよう」
 ひさしぶりにお城へかえったアーメッドを見て、王さまはたいそうよろこびました。
「元気か? おまえがいなくなったあと、フーセインも空とぶじゅうたんで旅に出てしまい、さみしいかぎりだ。今はどこでくらしているのだ?」
「それはいえません。そのかわり、わたしは月に一度、お城へ帰ってまいります」
 これを聞きつけて、大臣がいいました。
「王さま、アーメッドさまはヌーロニハル姫と結婚できなかったのをうらんで、今にせめてくるかもしれません」
「そんな、ばかな」
 王さまは、気にもとめませんでした。
 でもある日、そっと魔法使いにアーメッドをさがさせますと、魔法使いが言いました。
「王さまたいへんです! 王子さまはわたしよりずっと魔法の力がある姫と結婚して、宝石のかがやくお城にすんでいます」
 王さまは、あわてました。
「そんなにすごい魔法を使えるなら、この国をのっとることなどかんたんであろう。しかし、アーメッドがそんなことをするはずが・・・」
 そこへ、大臣と魔法使いがいいました。
「いいえ、王さま。アーメッドさまは必ずせめてきます。かわいそうですが、アーメッドさまに何かを失敗させて、それを理由に処刑(しょけい→死刑)しましょう」
 つぎの月になり、アーメッドがきた時、王さまは大臣と魔法使いに教えられた、とんでもない注文を出しました。
「わしの軍隊がぜんぶすっぽり入ってしまい、たためば手のひらにのるような、そんなテントをもってきてくれないか」
 アーメッドはおどろいて自分の城ヘ帰り、それをぺリパヌー姫にはなしました。
「お気のどくに。王さまはきっと、だれかにおどかされていらっしゃるのですね。・・・はい、これがそのテントです」
 さすがは、力がある魔法使い。
 姫はかんたんに、注文のテントをアーメッドにわたしたのです。
 アーメッドはそれをもって、王さまのところヘいきました。
 本当にテントの中に軍隊が入るのを見て、王さまのおどろいたことといったらありません。
 王さまはまた、大臣と魔法使いに教えられた、むちゃなことをいいました。
「ライオンの泉の水をくんできておくれ。あれを飲むと、長生きできるそうだから」
 アーメッドは、ため息をつきました。
 その泉にはおそろしいライオンがいて、近づく人間を食い殺すのです。
 でも話を聞いたぺリパヌー姫は、アーメッドにいいました。
「だいじょうぶですよ、アーメッド。ライオンにヒツジの肉をなげればいいのです」
 アーメッドは、ライオンがヒツジの肉を食ベているあいだに、水をくむことができました。
「アーメッドは、まったくふしぎな力をもっている。・・・だが、まさか、これはだめだろう」
 王さまは大臣と魔法使いに教えられた、三回目の注文を出しました。
「身長が一メートル、ひげの長さが十メートルあって、とても力持ちのじいさんをつれてきてくれ」
「今度ばかりは、もうだめだ」
 まえよりふかいため息をついたアーメッドに、ぺリパヌー姫はいいました。
「ご心配なく、アーメッド」
 そういったかと思うと、王さまののぞみどおりの人があらわれました。
 おどろいたことに、それは姫のお兄さんのシャイパルだったのです。
 アーメッド王子とシャイパルは、王さまのところへ急ぎました。
 そして、
「大臣に魔法使い! 王さまをそそのかしてアーメッドを殺そうとした罪は重いぞ!」
 シャイパルは鉄の棒をビュンビュンふりまわして、その風で大臣と魔法使いをまどの外にふきとばしました。
 王さまは、ハッと顔をあげていいました。
「悪かったアーメッド。ゆるしておくれ」
 王さまが心からあやまると、アリもヌーロニハル姫もかけよってきて、心からアーメッドをむかえました。
「それにしても、フーセインもはやくもどってくればいいのに。今ごろ空とぶじゅうたんで、どこをとんでいるんだろう?」
 みんなはそういって、空を見あげました。

 面影は少ないですが、ディズニーの「アラジン」にも、このお話しは取り入れられています。

おしまい

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