12月19日 日本初飛行の日
ライト兄弟から遅れること7年と2日後の1910(明治43)年12月19日、日本最初の飛行訓練が開始されました。場所は東京・代々木錬兵場(代々木公園)、パイロットは徳川好敏工兵大尉でした。5日後に離陸に成功、飛行時間は4分、高度70メートル、飛行距離3000メートルを記録しました。
記念日アニメ
飛行に関する昔話
(日本の昔話)
かもとりごんべえ
福娘童話集より
むかしむかし、あるところに、かもとりのごんべえさんという人がいました。
ある朝、ごんべえさんは、近くの池へいってみて、びっくり。
しかけておいたワナに、かぞえきれないほどのかもが、かかっていたのです。
おまけに、池に氷が張っているおかげで、かもたちは、動けずにいるようす。
「しめしめ。ここで待っていれば、もっと、つかまえられるにちがいない」
ごんべえさんは、大喜びで、ワナのアミを集めると、見はりをはじめました。
そのとき、お日さまが顔を出して、池の氷が、スーと、とけはじめました。
「おっと、大変」
あわてたときは、もうおそく、目をさましたかもたちが、バタバタバタと飛び立ち、それといっしょに、ごんべえさんも、かもたちに引っぱられて、空へ舞いあがってしまいました。
かもたちは、ごんべえさんをぶらさげたまま、野をこえ、山をこえ、谷をこえ。
「たっ、たすけてくれー!」
叫んでいるうちに、うっかり、アミをはなしてしまったから、大変です。
ごんベえさんは、まっさかさまに空から落っこちると、畑で働いていたお百姓さんの前へ、ドスン!
「なになに、かもをつかまえようとして、反対にさらわれたって?」
話を聞いたお百姓さんは、気のどくに思って、
「どうだい、ここでしばらく、くらしていっては」
「はいはい、よろしくお願いします」
つぎの日から、ごんべえさんは、畑をたがやしたり、種をまいたり、一生けんめいに働きました。
そんなある日、アワ畑で刈り入れをしていると、三本だけ、特別に大きな穂をつけた、アワがありました。
「ようし、こいつを刈ってやれ」
手元へ引き寄せて、穂を刈ろうとしたとたん、くきがバネのようにビョーンと、はね返ったから大変です。
ごんべえさんは、ピューと飛ばされて、遠く離れた、かさ屋のお店の前へ、ドスン!
「なになに、アワを刈ろうとして、飛ばされたって?」
話を聞いたかさ屋の主人も、気のどくに思って、
「それでは、しばらく、ここで働いて、お金をかせいでいくがいい」
「はいはい、よろしくお願いします」
ごんべえさんは、お店の手伝いをして、せっせと働きはじめました。
そんなある日、できあがったかさを干そうとしていると、風がピューと、ふいてきました。
ごんベえさんは、あっというまに吹き飛ばされて、またまた、空の上です。
「なんだって、こう、飛ばされてばかりいなけりゃならないんだ」
ブツブツいいながら飛ばされていくうち、屋根のような所に足がつきました。
「フー、やれやれ、助かった。だれかさんの家の上におりたらしいぞ。・・・へぇ!?」
ところがそこは、なんと、お寺の五重の塔のてっペんだったのです。
さあ、ごんべえさんが、驚いたのなんの。
「たっ、たすけてくれー!」
そこへ走ってきたのが、四人のお坊さん。
持ってきた、ふとんを広げると、
「おーい、だいじょうぶかー? ここへ飛びおりろー」
「やだ、やだ。こわいようー」
「だいじょうぶ、だいじょうぶ。しっかり持っているから、はやく飛びおりろー」
こうなったら、しかたありません。
「よっ、ようし。飛びおりるぞう。それ、一、二の三!」
ドスン!
ごんべえさんは、みごと、ふとんのまん中へ飛びおりました。
しかし、そのひょうしに、お坊さんたちの頭がゴッツンコして、目から火花が、飛び出しました。
そして、その火花が、あたりへ飛んで、五重の塔が焼け、お寺が焼け、なにもかもが残らず焼けてしまいました。
おしまい
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