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        3年生のイソップ童話(どうわ) 
         
          
         
        野ネズミと家ネズミ 
      
       野ネズミと家ネズミとは、なかよしでした。 
   家ネズミは、友だちの野ネズミによばれて、ごちそうになりに、いそいそと野へ出かけました。 
   ところが、オオムギとコムギばかり食べさせられたので、こう言いました。  
  「これじゃあ、きみ、まるでアリの生活だ。うちへくれば、うまいものがいっぱいあるから、いっしょにきて、なんでもおあがりよ」 
   そこで2匹(2ひき)は、すぐさま出かけました。  
   そして、家ネズミが見せたのは、マメやムギのほかに、ヤシの実(み)や、チーズや、ハチミツや、くだものでした。  
   野ネズミはびっくりして、家ネズミのくらしをたいそうほめて、身(み)のふしあわせをなげきました。  
   さて、いよいよごちそうに手を出そうとしたとき、きゅうに人間が、戸をあけました。  
   ネズミは、おくびょうですから、2匹(2ひき)ともその音におどろいて、壁(かべ)のわれめに飛び込(とびこ)みました。  
   しばらくして、こんどは、干(ほ)しイチジクをとりあげようとしていますと、べつの人が部屋(へや)の中へ、なにかとりにはいってきました。  
   それを見て、ネズミはまた、穴(あな)に飛び込(とびこ)んで、かくれました。  
   そこで野ネズミは、おなかのすいたことなど忘(わす)れて、ためいきをつき、家ネズミにいいました。  
  「さようなら。きみは、あぶないめや、こわいめにさんざんあいながら、腹(はら)いっぱい食べて、きげんよくそれを味(あじ)わっているが、わたしは、いくらみじめでも、こわいめにあわずに、オオムギやコムギを食べて、のんきにくらしていくよ」 
   
   びくびくしながら、ぜいたくするよりは、質素(しっそ)にくらして、のんきに生きているほうがいいのです。 
      おしまい 
        
         
        
       
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