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        4年生のイソップ童話(どうわ) 
         
          
         
        やぶ医者 
      
       1人のやぶ医者が、病人をしんさつしました。 
   ほかの医者たちは、この病人はたいしたことはないと、いっていたのですが、このやぶ医者だけは、 
  「お気のどくだが、この病人は、あしたまで生きられませんな。覚悟(かくご)をきめるほうがいいでしょう」 
  と、いって、かえっていきました。 
   それからしばらくたって、病人はおきられるようになり、まだ顔色は悪く、足もふらふらしていましたが、外に出ることができました。  
   ふらふらと歩いていますと、むこうから、いつかのやぶ医者がきました。  
  「やあ、こんにちは。地獄(じごく)の人たちは、ごきげんいかがですか」 
  と、やぶ医者は、あいさつしました。 
   病人は、すまして答えました。  
  「みんな、のんびりやっていますよ。ごぞんじのとおり、この世と地獄(じごく)のあいだにある地獄(じごく)の川の水を飲めば、なんでもわすれてしまいますからね。ただ、さいきん、死に神と、地獄(じごく)の大王ハデスが、医者はけしからんと、ひどく腹(はら)を立てていました。医者がいるおかげで、病人が死なないので、地獄(じごく)が不景気(ふけいき)になるからです。それで、死に神たちは、ぜんぶの医者をやっつけようとして、医者という医者の名まえを、書きとめていました。あなたの名まえも、書こうとしましたから、わたしは大いそぎで、2人の神さまの前にひれふして、この人は、本当の医者ではないから、助けてあげて下さいと、お願(ねが)いしたのですよ」 
   
   この話は、□先ばかりたっしゃで、病人をなおすことを知らない医者を、やっつけています。  
      おしまい         
         
        
       
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