2年生のイソップ童話 
         
          
        イラスト myi 
         
        カとライオン 
      
       カが、ライオンのところへいって、いいました。 
        
              「ぼくはきみが、こわくなんかないよ。どうぶつの王さまと、いばっているけど、きみはぼくより強(つよ)くなんかないよ。 
       もし、きみのほうが強(つよ)いというのなら、その証拠(しょうこ)をみせてごらん。 
       爪(つめ)でひっかいたり、かみついたり。 
       まあ、むだなことだけどね。 
       なにしろ、ぼくは、きみよりずっと強(つよ)いんだから。 
       あれ、うたがっているの。 
       なんならいますぐ、きみと勝負(しょうぶ)をしよう」 
        
               そしてすぐさま、カはライオンにおそいかかりました。  
         ライオンの鼻(はな)の穴(あな)のまわりの、毛(け)のないところをねらって、ちくり、ちくりと、刺(さ)したのです。  
         ライオンはかゆくてたまらず、自分(じぶん)の爪(つめ)で、鼻(はな)をひっかいて、血(ち)だらけになりました。  
        「こうさん、こうさん」 
        
               ライオンは、勝負(しょうぶ)をあきらめました。  
         カは、ライオンを負(ま)かしたので、大喜(おおよろこ)びです。  
        「ブブブン、ブブブン」 
        と、勝利(しょうり)の歌(うた)を歌(うた)いながら、飛(と)びたちました。 
        
               ところが、かえり道(みち)で、クモの巣(す)にひっかかって、クモのえじきになってしまいました。  
         クモに、食(たべ)られるとわかったとき、カは、泣(な)きべそをかいていいました。  
        
              「ライオンよりも強(つよ)いこのぼくが、クモなんていう、ちっぽけなやつのために死(し)ぬとは。やれやれ、なんてことだ」 
         
         この話(はなし)は、つよいものに勝(か)ちながらも、ちっとした不注意(ふちゅうい)から、弱(よわ)いものに負(ま)けることがあると、おしえています。  
      おしまい 
        
       
         
         
        
      
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