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        2年生のイソップ童話 
         
          
         
        ワシのまねをしたカラス 
      
       むかしむかし、1羽(1わ)のワシが、狩(か)りをしていました。 
   ワシは高(たか)い岩(いわ)の上から、さーっと舞(ま)い降(お)りたかと思(おも)うと、子ヒツジをするどい爪(つめ)でがっちりつかみ、あっという間(ま)に連れ去(つれさ)ってしまいました。 
  「かっこいいなぁ」 
   そのすばらしく、どうどうとしたワシの様子(ようす)を、1羽(1わ)のカラスがうっとり見ていました。  
  「ぼくもあんなふうに、かっこよく狩(か)りをするんだ。せこせこと、木の実(このみ)をつつくなんて、もうやめた」 
   カラスはさっそく、ワシのまねをしました。  
   つばさを広(ひろ)げ、ビュッと、大きな羽(はね)の音を立てて、えものをねらいました。  
  「どうせなら、ワシがつかまえたのより、大きなヒツジをつかまえてやろう。あんなふうにガシッと深(ふか)く爪(つめ)を立ててれば、ヒツジなんかかるいもんさ」 
   カラスは、ヒツジの群(むれ)の中でいちばんよく太(ふと)っている、ヒツジの背中(せなか)に飛(と)びつきました。 
   しかし、ヒツジは重(おも)すぎて、カラスにはとても持ち上(もちあ)げられません。  
  「しかたがない、子ヒツジでがまんするか」 
   カラスは、飛び上(とびあ)がろうとしました。  
   でも、いくら力一杯(ちからいっぱい)羽(は)ばたいても、爪(つめ)がヒツジの巻き毛(まきげ)にからまって、うごくことができません。  
   バタバタともがいているうちに、とうとうカラスは、ヒツジ飼(か)いの男につかまえってしまい、羽(はね)を切(き)られてしまいました。  
   さっそく、ヒツジ飼(か)いのこどもたちが、この様子(ようす)を見にあつまってきました。 
   1人のこどもが、たずねました。  
  「お父(とう)さん、この鳥(とり)は、なんていう鳥(とり)なの?」 
   するとヒツジ飼(か)いは、笑(わら)いながら答(こた)えました。  
  「お父(とう)さんは、こいつはどう見てもカラスだと思(おも)うんだ。でも、こいつは自分(じぶん)のことを、ワシだと思(おも)っているみだいだね」 
   
   人のすぐれたところだけをまねようとしても、かんたんにはうまくいきません。  
   そればかりか、このカラスのように、みんなに笑(わら)われてしまうと言(い)う、お話(はなし)でした。  
      おしまい 
        
       
         
         
        
      
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