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        6年生のイソップ童話 
         
          
         
ヘラクレスとアテネ 
      
       
      
       怪物退治(かいぶつたいじ)で有名な英雄(えいゆう)のヘラクレスが、あるとき、せまい道を歩いていました。 
   見ると、地面にリンゴみたいなものが落ちています。 
   ヘラクレスは、それを踏(ふ)みつけました。  
   すると、リンゴみたいなものは、二倍の大きさにふくれあがりました。  
  「あれれ、へんてこだな」 
  と、ヘラクレスはさっきよりも強く、ぐいっと踏(ふ)みつけて、そのうえ、持っていたこん棒(ぼう)でたたきました。 
   ところが、リンゴみたいだったものは、かえってどんどんふくれあがって、道をふさぐほど大きくなってしまいました。  
   ヘラクレスはたまげて、こん棒(ぼう)も放り出して、そこにつっ立ってしまいました。  
   このとき、アテネの女神がヘラクレスの前にあらわれて、 
  「おやめなさい、ヘラクレスさん。これは、ケンカのおばけなのですよ。かまわずにほうっておけば、もとのまんまの大きさでいるのですが、つついたり、踏(ふ)んだりすると、このとおり、どんどんふくれあがってしまうのです」 
   
   あらそいやケンカは、はじめはたいしたことでなくても、そのうちに、たいへん大きくておそろしいものになるものだと、この話はおしえています。  
      おしまい 
        
       
         
         
        
      
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