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        3年生のイソップ童話(どうわ) 
         
          
         
おばあさんと目医者(めいしゃ) 
      
       あるおばあさんが、目の病気(びょうき)にかかり、目が見えなくなって寝(ね)こんでいましたが、友だちに、どんな目の病気(びょうき)でも治(なお)すという、名医(めいい)の目医者(めいしゃ)がいると聞いたので、おばあさんはその目医者(めいしゃ)を呼(よ)んで、きちんとお金はらうから、どうか目をなおしてほしいとたのみました。 
   目医者(めいしゃ)はたしかに名医(めいい)で、おばあさんの見えない目は、だんだん見えてくるようになりましたが、じつはこの目医者(めいしゃ)は、ドロボウでした。 
   おばあさんの家にきて手あてをしますが、くるたびに、ちりょうでおばあさんが目をつぶっているすきに、部屋(へや)にある家具(かぐ)を、1つずつ、こっそり持(も)ってかえっていたのです。  
   家じゅうの家具(かぐ)を、次々(つぎつぎ)にぜんぶぬすみおえたとき、おばあさんの目は、完全(かんぜん)に見えるようになりました。  
   医者(いしゃ)は、『目の治療(ちりょう)がすんだから、約束(やくそく)の金をはらえ』と、おばあさんにいいました。  
   すると、おばあさんは、  
  「いいえ、お金をはらうわけにはいきません」 
  と、いいました。 
   医者(いしゃ)はおこって、裁判官(さいばんかん)のところへ、おばあさんをひっぱっていきました。  
   裁判官(さいばんかん)に、『なぜ、目のちりょうがすんだのに、約束(やくそく)どおり、お金をはらわないのか』と、聞かれると、おばあさんは、  
  「たしかにわたしは、『目をなおしてくれたらお金をはらう』と、いいましたよ。だけど、わたしの目は、まだ、なおっていません。だって、うちの中の家具(かぐ)が、なにひとつ見えないのですから」 
   このことで、医者(いしゃ)がドロボウだったことがわかり、医者(いしゃ)は、罰(ばっ)せられることになりました。 
   
   こんなぐあいに、人をだましてよくばったことをする人間は、自分のおかした罪(つみ)をつぐなうはめになるのです。  
      おしまい 
        
       
         
         
        
      
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