| 
      | 
     
        3年生の日本昔話(にほんむかしばなし) 
          
          
         
彦一(ひこいち)のウナギつり 
      
       むかしむかし、彦一(ひこいち)と言う、とてもかしこい子どもがいました。 
   ある日のこと、彦一(ひこいち)は、肥後(ひご→くまもとけん)の国ざかいの川へ、ウナギつりにでかけました。 
   けれど、この日はどうしたことか、ウナギがさっぱりつれません。  
   つれる場所(ばしょ)をさがして、川の上流(じょうりゅう)へ上流(じょうりゅう)へとのぼっていくと、いつのまにか、となりの国の領地(りょうち)に入ってしまいました。  
  「まあ、だれにもみつかりはすまい」 
   彦一(ひこいち)がつりはじめると、こんどは、おもしろいようにつれます。  
   するとそこに、となりの領地(りょうち)のさむらいが、やっぱりウナギつりにきて、彦一(ひこいち)をみつけました。  
  「やい、やい、彦一(ひこいち)。ここは、わしの殿(との)さまの領地(りょうち)の川じゃ。おまえがつったウナギを、のこらずよこせ」 
   ところが、彦一(ひこいち)はあわてません。  
  「おらは、八代(やつしろ)の川を、大きなウナギが何百匹(なんびゃっぴき)ものぼるのをみて、それをつりにきたまでじゃ。八代(やつしろ)のおれが、八代(やつしろ)のウナギをとって、どこがわるいか」 
  と、いいました。 
  「それはそうだが、八代(やつしろ)のウナギと、わしの領地(りょうち)のウナギとを、どうしてみわけることができる。へりくつをぬかすな」 
  「いいや、みわけるなど、わけはない」 
   彦一(ひこいち)は、大きなウナギをつりあげると、  
  「これは、八代(やつしろ)からのぼってきたやつ」 
   じぶんのビク(→さかなを入れるカゴ)に、ポイと入れ、小さいのがかかると、  
  「これは、そちらのウナギ」 
   さむらいのビクに、ポイと投げ入(なげい)れました。  
   そうして彦一(ひこいち)は、大きいウナギだけをもってかえりました。  
      おしまい 
        
         
         
        
       
     | 
      | 
     |