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        3年生の日本昔話(にほんむかしばなし) 
          
          
         
二つ目のおばけ 
       むかしむかし、江戸(えど)の浅草(あさくさ)で、見世物小屋(みせものごや)をだしていた、伝七(でんしち)という男がいました。 
   あれやこれやと、いろいろやってみましたが、どうもお客(きゃく)が集(あつ)まってきません。 
  「なにかうまい、だしものはないものか」 
  と、考えていたところ、北の国には一つ目小僧(こぞう)がいるときいて、とびあがってよろこびました。 
  「こいつは、二、三人、さらってきて、大もうけをしよう」 
   そこで、とるものもとりあえず、北の国へ旅(たび)にでかけました。  
   山をこえ、野をこえ、北へ北へと、いく日もいく日も歩いていくと、どうしたものか、暗(くら)い森の中にまよいこんでしまいました。  
   もう、日もくれかかっています。  
  「さあ、えらいこっちゃ。こんなところで野宿(のじゅく)とは」 
   すると、どこからか、歌が聞こえてきました。  
   耳をすませてみると、子どもの声です。  
  「どこで、歌っているのかな?」 
   クマざさをおしわけ、声をたどっていくと、いました。  
   子どもが五、六人、わになって遊(あそ)んでいます。  
   その子どもたちは、どれもこれも一つ目です。  
  (さては、ここが一つ目の国か。よーし、あの子どもをさらっていって、見世物(みせもの)にしてやろう) 
   伝七(でんしち)は、そーっと近づいていって、両手(りょうて)でグイと、ひっつかまえました。  
   とたんに、  
  「えーい、なにをする!」 
   伝七(でんしち)は、けとばされ、地面(じめん)にたたきつけられてしまいました。  
   ヒョイと顔をあげてみると、おとなの一つ目に、グルリとまわりをとりかこまれています。  
   伝七(でんしち)は、おとなの一つ目に、なわでぐるぐるまきにしばられて、  
  「わっしょ」 
  「わっしょ」 
  と、一つ目の村へ、かつがれていきました。 
   さて、それからまもなくのこと。  
  「さあ、いらっしゃい。いらっしゃい。世(よ)にもめずらしい、二つ目のおばけだよ。このおばけ、なんと目が二つもあるんだ」 
   とうとう、伝七(でんしち)は、一つ目の国で、見世物(みせもの)にされてしまったのです。  
      おしまい         
         
         
        
       
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