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        4年生の日本昔話 
          
          
         
ほうびの米俵(こめだわら) 
      
       むかしむかし、彦一(ひこいち)と言う、とてもかしこい子どもがいました。 
   殿(との)さまが死んで、若(わか)さまが殿(との)さまになってから、いく年かたったある日。 
   彦一(ひこいち)の家に、お城(しろ)から、つかいのさむらいがきて、  
  「殿(との)さまが、おまえにほうびをつかわすそうじゃ。城(しろ)にまいるがよい」 
  と、いいました。 
  「はて、何をくださるおつもりじゃろ。若(わか)さま、・・・いや殿(との)さまは、気前(きまえ)がいいからな。ほうびがたくさんあると持ちきれないから、ねんのために、ウシをひいていこう」 
   彦一(ひこいち)が牛をひいて、お城(しろ)にあがると、  
  「これ、彦一(ひこいち)。ちこうよれ。そちのとんちのかずかず、あいかわらず城(しろ)でもひょうばん。おかげで、父上なきあとのこの城(しろ)も、ほがらかじゃ。よって、ほうびをとらす」 
   殿(との)さまじきじきの、お言葉です。  
  「はーっ、ありがたき、しあわせにぞんじます」 
  「では、彦一(ひこいち)へのほうびをもて」 
   お殿(との)さまが手をたたくと、けらいがひとふりの刀と、米俵(こめだわら)を一俵(1ぴょう)もってきました。  
  「ははーっ」 
   彦一(ひこいち)は、あたまを床(ゆか)にすりつけて、殿(との)さまにおれいをいいました。  
   でも、どうせいただくなら、米俵(こめだわら)をもう一俵(1ぴょう)ほしいとおもった彦一(ひこいち)は、牛のせなかのかたほうに刀をくくりつけ、もうかたほうに、米俵(こめだわら)をのせることにしました。  
   刀はかるいけれど、米俵(こめだわら)はズッシリとおもいので、牛の体はななめになりました。  
   おもさがかたよりすぎているため、うまくあるきだせません。  
   すると彦一(ひこいち)が、牛にむかっておこりました。  
  「おまえというやつは、牛のぶんざいで、お殿(との)さまからいただいた、かたほうのごほうびをおもんじ、かたほうをかろんずるつもりか! はよう、たたんか!」 
   牛はヨロヨロたちあがりましたが、うまく歩けずに、また、すわりこんでしまいました。  
  「うーん、やっぱり、このままではむりなようだ。さて、どうするか?」 
   彦一(ひこいち)が、わざとこまっていると、さっきからこのようすをながめていたお殿(との)さまが、けらいにいいつけました。  
  「牛が、かたにでなんぎしておる。彦一(ひこいち)に、米俵(こめだわら)をもう一俵(1ぴょう)、つかわしてやれ」 
   牛は米俵(こめだわら)を左右にふりわけ、こんどは調子よく歩き出しました。  
      おしまい         
         
        
       
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