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1ねんせいのにほんむかしばなし
まめつぶころころ
むかしむかし、 あるところに、 しょうじきで はたらきものの おじいさんと おばあさんが すんでいました。
あるひ、 おばあさんが いえのなかを そうじしていると、 まめが ひとつぶ ころげおち、 かまどに はいって しまいました。
「やれやれ、 もったいない。 ひとつぶの まめでも そまつには できん」
おじいさんは、 そうおもって、 かまどの なかを かきまわしました。
すると、 かまどの そこに ポッカリと あなが あいて、 おじいさんは あなの なかへ、 コロコロコロと、 ころげおちて しまいました。
「あいたた!」
おしりを さすりながら ふとみると、 そばに おじぞうさまが、 たっています。
「じぞうさま、 じぞうさま、 まめを しりませんか?」
おじいさんが たずねると、 おじぞうさまが いいました。
「まめなら、 わしが くったよ」
「それなら よかった。 まめが むだに ならずに よかった。 では、 これで かえります」
おじいさんが もどろうと すると、 おじぞうさまは いいました。
「ひとつぶの まめでも、 おれいを せんとな。 このさきを いくと、 あかいしょうじの いえが あるから、 こめつきを てつだえ。 また そのさきには、 くろいしょうじの いえが あるから、 てんじょううらに のぼって、 ニワトリの まねを せい。 きっと いいことが あるぞ」
おじいさんは おしえられたとおりに、 あなの なかを あるいて いきました。
しばらくいくと、あかいしょうじの いえが あって、 おおぜいの ネズミたちが、 よめいりじたくの まっさいちゅうです。
♪ニャーと いうこえ、 ききたくないぞ。
♪ニャーと いうこえ、 ききたくないぞ。
と、 うたいながら、 こめを ついて いました。
「よめいりとは おめでとうさん。 こめつきを てつだいましょう」
おじいさんは こころを こめて、 いっしょうけんめい こめを ついてやりました。
ネズミたちは おおよろこびで、 おじいさんに あかいきものを くれました。
また しばらくいくと、 がけの うえに、 くろいしょうじの いえが ありました。
そのいえの なかでは、 おおぜいの おにどもが たからのやまを つんで、 はなふだばくち(→かけごと)を していました。
おじいさんは こわいのを ガマンして、 てんじょううらに のぼって、 おおごえで さけびました。
「コケコッコー! 1ばんどりだぞー! コケコッコー! 2ばんどりだぞー! コケコッコー! 3ばんどりだぞー!」
「うわあ! あさだ、 あさだ!」
おにどもは、 あわてて にげだして しまいました。
あとには、 たからのやまが のこりました。
おじいさんが、 そのおたからを もってかえると、 おばあさんは おおよろこびです。
このはなしを ぬすみぎきしていたのは、 となりにすむ、 よくばりな おじいさんと おばあさんでした。
「こりゃあ、 いいことを きいたぞ」
よくばりな おじいさんは、 ザルに いっぱい まめを いれ、 となりの いえへ やってくると、 いきなり かまどの なかへ、 まめを ザーッと ぶちまけて しまいました。
「おらも いって くるで!」
そういうと、 かまどの そこの あなの なかへ とびこみました。
「どれ。 じぞうさまは、 じぞうさまはと、 ・・・あっ、 いた、 いた。 これ、 じぞうさま、 おらの まめを くうたじゃろう! いまさらかえそうたって だめじゃい。 おれいは どうした、 おれいは!」
こわいかおで どなられて、 おじぞうさまは しかたなく、 さっきと おなじことを おしえました。
そこで おじいさんは、 ドンドンすすんで ネズミの いえに つきました。
♪ニャーと いうこえ、 ききたくないぞ。
♪ニャーと いうこえ、 ききたくないぞ。
「ははん、 ここだな。 ようし、 おどかして、 ネズミの たからものを とってやれ」
よくばりな おじいさんは、 おおきなこえで いいました。
「ニャーオ、 ニャーオ!」
ネズミたちは ビックリして、 こめつきの きねを おじいさんに なげつけました。
「あいた。 やめろ、 やめろ!」
おじいさんは なんとか にげだして、 こんどは おにどもの いえへ きました。
ところが、 おにどもが あんまり こわかったので、 ブルブルふるえながら いいました。
「1ばんどり〜! 2ばんどり〜! 3ばんどり〜! ・・・あわわわ」
「なんじゃ、 こいつは? さては、 わしらの たからを ぬすんだのは、 こいつだな!」
おこった おにどもは、 よくばりおじいさんを つかまえて、 じごくへ つながる たにぞこへ、 けとばして しまいました。
よくばりな おじいさんは、 いまでも あなのなかに いるのです。
おしまい
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