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        5年生の江戸小話(えどこばなし) 
        
      かんびょう 
      
        ある時、一人暮らしの八五郎(はちごろう)が病気になりました。  
「おいおい、八こうの奴が病気だってさ。みんなでお見舞いに行ってやろうじゃないか」 
 こうして八五郎の友だちが二、三人集まって、お見舞いに行く事になりました。 
「よう、具合はどうだ? 安心しなよ、おれたちが看病してやるからな」 
 友だちが言うと、八五郎は嬉し涙を流しました。 
「ありがたい、持ちべき物は友だな。まあ何もないが、賑やかに話でもしていってくれ」 
「そうかい、それじゃあ何か用があったら声をかけろよ。遠慮なんかする事はないぞ」 
 そう言って友だちは賑やかに話などをしていましたが、そのうちに花札が始まってしまいました。 
 勝ったの負けたのとやっているところへ、八五郎が声をかけました。 
「もしもし、水を一杯くだされ」 
「・・・」 
「もしもし、すみませんが、お水を・・・」 
「ああ、今やるぞ」 
 友だちは声ばかりで、いつまでたっても来てくれません。 
 たまりかねた八五郎が、ふらふらと起きて来たのを友だちが見つけて言いました。 
「これ、どこへ行くのだ、寝ていないと危ないぞ」 
「ちょっと、水を飲みに」 
 すると友だちが、次々と言いました。 
「おお、それならついでに、おれにも水を持って来てくれ」 
「おお、おれは酒だ。酒を持って来てくれ」 
「おれにはまんじゅうだ。なければ買って来てくれ」 
「・・・・・・」 
 
 この様な友だちを、悪友と言います。 
      おしまい 
        
         
        
       
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