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        6年生の江戸小話(えどこばなし) 
        
      聞きまちがい 
      
        ある男が眼の悪い佐助(さすけ)の手を引いて、眼の治療(ちりょう)に連れて行きました。 
 歩いているうちに、道ばたに俵(たわら→米などを入れる、わらをあんで作ったふくろ)にくるまれた赤ん坊が捨ててあるのを見つけました。 
 男は驚いて、 
「おいおい! 佐助よ。ここに、俵にくるんだ子めが捨ててあるぞ!」 
と、教えました。 
 すると、佐助が、 
「何だ? 米が捨ててある? それなら拾っておけ」 
と、言いました。 
「いやいや、そうじゃなくて、赤子めなのじゃ」 
「赤米(あかごめ→小粒で味の悪い米で、貧しい人々の間で食べられていました)か。まあ、赤米でもいいから、拾っておけ」 
「いやいや、そうじゃなくて、人じゃ」 
「四斗(しと→約七十二リットル)もあるのか。それなら仲良く、二人で二斗ずつ分けよう」 
      おしまい 
        
       
         
         
        
      
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