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2年生の江戸小話(えどこばなし)
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立てば出ます
あるさむらいが、お使(つか)いのとちゅうで、便所(べんじょ)にいきたくなりましたが、がまんして、両国(りょうこく)までやってきました。
両国(りょうこく)までくれば、どこかに便所(べんじょ)があるだろうとおもい、便所(べんじょ)をさがしましたが、どこにもみあたりません。
ふと、橋(はし)のそばをみると、野菜(やさい)の菜(な)っぱ売(う)りが、青い顔(かお)ですわっておりましたので、さむらいはかけより、
「このへんに、便所(べんじょ)はありませぬか?」
と、きくと、菜(な)っぱ売(う)りは、
「わたしも、さがしていますが、ありませぬ」
「おまえも便所(べんじょ)をさがしておいでか。・・・しかし、さがしているのなら、なぜそこに、そうしてしゃがんでいるのじゃ?」
と、いうと、菜(な)っぱ売(う)りは、苦(くる)しそうに、
「もう、限界(げんかい)で、立てば、・・・出ます」
おしまい
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