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        4年生の江戸小話(えどこばなし) 
        
      けちの親子 
      
        あるところに、とてもけちん坊な親子がいました。 
         
 ある日の事、けちん坊の親子がさんぽをしていると、途中で足をすべらせた父親が川へ落ちてしまいました。 
「親父、すぐに助けてやるからな!」 
 息子は父親を助けようと思いましたが、泳げない息子一人では父親を助ける事が出来ません。 
 息子がおろおろしていると、通りかかった百姓が言いました。 
「百文(ひゃくもん→三千円ほど)出すなら、わしが親父さんを引き上げてやりましょう」 
 息子は生まれつきのけちん坊なので、すぐに値切りました。 
「七十二文に、まけてくれ」 
 しかし百姓は、首を横に振ります。 
「いや、百文だ」 
「では、七十三文でどうだ」 
「いいや、百文だ」 
「では、七十四文」 
「だめだめ、百文だ」 
 互いにゆずらずに言い合っていると、今にもおぼれそうな父親が、がぼがぼ水をはき出しながら息子に言いました。 
「そうだそうだ! おれは死んでもいいから、決して百文は出すな。絶対にまけさせろ」 
      おしまい         
         
        
       
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