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        6年生の日本民話 
          
          
         
お銀と小金物語 
石川県の民話 
      
       むかしむかし、金沢(かなざわ)に、お銀(おぎん)と小金(こきん)という仲のよい姉妹がいました。 
   でも、その姉妹は腹(はら)ちがいで、それぞれ産んでくれたお母さんがちがいます。 
   お銀の母親はお銀が小さい頃(ころ)に死んでしまい、小金の母親はお銀の父親と結婚(けっこん)してから、小金を生んだのです。 
   だから母親は、お銀には冷たくあたります。  
   お銀が不幸になっても、小金が幸せならいいと思っていました。  
   ある日の事、お銀の父親が仕事で江戸(えど→東京都)にいくことになりました。 
   母親はいいチャンスだと思い、お銀を山へつれていって殺してやろうと思ったのです。  
   そうとは知らない、お銀も小金も、  
  「わあ、きれいなお花だこと」 
  と、いいながら、どんどんどんどん山奥(やまおく)へ入って行きました。 
   母親はお銀に気づかれないように、小金だけをつれて家へ帰ってしまいました。  
   お銀がふと気がつくと、小金も母親もみあたりません。  
   お銀は涙声(なみだごえ)で、 
  「かあさま! 小金ちゃん!」 
  と、よびながら帰り道をさがしました。 
   家では小金が、お銀のことを心配しています。  
  「お銀ちゃん、無事で帰ってきてね」 
  と、いのるような気持で待っていました。 
   その日の夜遅(おそ)く、泥(どろ)だらけのお銀が帰ってきました。 
   小金は、とびつかんばかりに喜び、  
  「よかったわ、よかったわ」 
  と、いいながら心の中で、 
  (ごめんね。こんなかあさまを許してやってね) 
  と、あやまるのでした。 
   ところが、母親はくやしそうな顔で、  
  「おやまあ、ずいぶんと遅(おそ)かったねえ」 
  と、いっただけで、また次の方法を考えていました。 
   数日後のある日、母親はまたお銀を殺そうと、下男(げなん)に犀川(さいがわ)の岸辺に大きな穴(あな)をほらせました。 
   そして、いやがるお銀をひっぱっていって、いきなり穴(あな)の中に突(つ)き落したのです。 
  「今度こそ、お前も終わりだよ!」 
   母親はそう言うと、さっさと帰ってしまいました。  
   この様子を見ていた小金は、その穴(あな)に近づいて、 
  「お銀ちゃん!」 
  と、よびました。 
   すると、  
  「小金ちゃん助けて! 水が入ってくるの。どんどん深くなってくるの」 
  と、お銀の声がします。 
   でも、子どもの小金にはどうすることもできません。  
   しばらくして、お銀の声はまったく聞こえなくなってしまいました。  
  「お銀ちゃん! お銀ちゃん! かあさまを許してあげてね。わたしもお銀ちゃんのそばへいくから」 
  と、いうと、深い穴(あな)の中に、小金も身を沈(しず)めてしまいました。 
   今でも法年寺(ほうねんじ)には、二人のお墓があるという事です。  
      おしまい         
         
        
       
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