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4年生の日本民話(にほんみんわ)
一休さんの、サルの恩返(おんがえ)し
滋賀県(しがけん)の民話(みんわ)
むかしむかし、一休さん(いっきゅうさん)と言う、とんちで評判(ひょうばん)の小僧(こぞう)さんがいました。
その一休さんが、大人になったころのお話です。
ある年の春、一休さんが伊豆(いず)のお寺にいたとき、村の男が一匹(1ぴき)のサルをつかまえて、家の軒下(のきした)でさんざんなぐりつけていました。
一休さんはサルをかわいそうに思って、わずかばかりのお金でサルを買いとると、山へ逃(に)がしてやりました。
それから何日かしたある日の夕方、お寺の縁側(えんがわ)から夕焼(ゆうや)けにそまる春の山々の景色(けしき)をながめていると、一匹(1ぴき)のサルがやってきて、葉っぱにつつんだものをさしだしました。
一休さんはそのサルの顔を見て、このあいだのサルだと思いながら、
「これをわしに、くれるというのか? ありがとう」
と、サルの手から葉っぱのつつみをうけとりました。
中にはまっ赤にうれた、野イチゴの実が入っています。
すると、一休さんは、
「これはおいしそうだ。ああ、ちょっとおまち」
そういって、布袋(ぬのぶくろ)にいりマメを入れてやると、サルはそれをうけとって、お寺の裏山(うらやま)へ消えていきました。
次の日、サルはその布袋(ぬのぶくろ)においしそうなクリの実を入れて、一休さんのところへかえしにきました。
「命を助けられた恩(おん)を、よく知ったサルじゃ。善悪(ぜんあく)の区別(くべつ)もわからぬような人間は、サルにもおとるといえる」
一休さんはたいそう感心して、若(わか)いお坊(ぼう)さんたちにそう語ったという事です。
おしまい
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