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        5年生の日本民話 
          
          
         
人魚が教えてくれた秘密(ひみつ) 
沖縄県(おきなわけん)の民話 
      
        
          | ♪音声配信(html5) | 
         
        
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          | 朗読者 : 東海ラジオ 開治小学校 編 | 
         
       
       むかしむかし、とても美しい浜辺(はまべ)がありました。 
   ある日の夜、仕事の終わった若者(わかもの)たちが、この浜辺(はまべ)でお酒を飲んでいると、海のほうから美しい歌声が聞こえてきました。 
  「なんてすてきな歌声だ。いったい、誰(だれ)が歌っているのだろう」 
   若者(わかもの)たちは海を見ましたが、海の上には船もありません。 
   でもたしかに、歌声は海の方から聞こえてくるのです。  
   若者(わかもの)たちはお酒を飲むのもわすれて、いつまでも聞きほれていました。 
   そんなことがあってから、何日かすぎたころです。  
   若者(わかもの)たちが魚をとっていると、なんとアミに人魚がかかったのです。 
   みんなは、大喜びです。  
  「これはめずらしいものがとれたぞ。見せ物にしてもいいし、お金持ちに売りつけてもいい。とにかく大もうけが出来るぞ」 
   すると、人魚がなみだをこぼして言いました。  
  「おねがいです。どうかこのまま、海へもどしてください」 
  「いや、そうはいかん。せっかく手に入れためずらしいものを、逃(に)がすわけにはいかん」 
   ガッカリした人魚はなみだをふくと、しずかに歌をうたいはじめました。  
   なんとその声は、いつか浜辺(はまべ)で聞いたものと同じです。 
  「あの歌声は、お前が歌っていたのか」 
   若者(わかもの)たちはおどろいたように、人魚を見つめました。 
   美しい歌声はたちまち若者(わかもの)たちの心をとらえて、だれもがうっとりと夢(ゆめ)を見ているような気持ちになりました。 
   やがて歌い終わると、人魚が言いました。  
  「もし、わたしを助けてくださるのなら、海の秘密(ひみつ)を教えてあげます」 
  「なに、海の秘密(ひみつ)だと?」 
   若者(わかもの)たちは、顔を見合わせました。 
  「よし、いいとも、助けてあげよう」 
  「ありがとうございます」 
   人魚はうれしそうにニッコリ笑うと、船から海に飛び込(とびこ)んで言いました。 
  「実は、明日の朝に大津波(おおつなみ)が村をおそいます。今日のうちに、山へ逃(に)げてください」 
   それを聞いた若者(わかもの)たちは、あわてて村の人たちに人魚の言った事を知らせました。 
   村の人たちは、すぐに身のまわりの物を持って山の上へ逃(に)げました。 
  「さて、ほかの村の人たちにも知らせてやらなくちゃ」 
   若者(わかもの)たちは手分けして、人魚から聞いた津波(つなみ)の事を知らせに行きましたが、どの村へ行っても、 
  「そんなバカな。人魚なんているはずないだろう」 
  と、誰(だれ)も信じてはくれません。 
   若者(わかもの)たちはしかたなく、山の上へ逃(に)げていきました。 
   そして次の日の夜明け、人魚の言ったとおりに、誰(だれ)も見たことがないような大津波(おおつなみ)がおそってきて、浜辺(はまべ)の村はあっというまに海へ引きこまれてしまいました。 
   でも若者(わかもの)たちの村では、人魚のおかげで、誰一人(だれひとり)死んだ者はいなかったという事です。 
      おしまい         
         
        
       
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