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        3年生の世界昔話(せかいむかしばなし) 
          
          
         
雪の女王 
アンデルセン童話(どうわ) → アンデルセン童話(どうわ)のせつめい 
      
       むかしむかし、悪魔(あくま)がカガミをつくりました。 
   美(うつく)しいものは、みにくく、まっすぐなものは、よじれて見えるカガミです。 
  「よしよし、いいものができたぞ」 
   天使(てんし)をからかいたくなった悪魔(あくま)は、このカガミを持(も)って、天へ向(む)かいました。 
   ところが途中(とちゅう)で、悪魔(あくま)はカガミを落(お)としてしまったのです。 
   カガミはくだけてちらばり、そのかけらの一つが、大きな町に住 す)んでいる、カイという男の子の目に入りました。 
   ちょうど、仲(なか)よしのとなりの女の子のゲルダと、屋根(やね)の上で絵本を見ているときでした。 
   カガミのかけらが目にささったカイは、ずっと仲(なか)よしだったゲルダを、にらみつけていいます。 
  「おまえなんか、大きらいだ!」 
   カイはそういうと、走っていって、雪の女王に会いました。  
  「おいで。おまえを待(ま)っていたんだよ」 
   女王はカイをそりに乗(の)せると、北の国めがけて走っていきました。 
   ゲルダは力イが帰ってくるのを待(ま)ちましたが、いつまで待(ま)っても、カイは戻(もど)ってきません。 
  「カイちゃんを、さがしにいこう!」 
   ゲルダは決心(けっしん)すると、人びとにカイの居場所(いばしょ)をたずねました。 
  「ああ、カイは雪の女王といっしょにいったよ」 
  「雪の女王? その人は、どこにいるの?」 
  「ずっーと北の、世界(せかい)の北の果(は)てさ」 
   ゲルダは、雪の女王のいる世界(せかい)の北の果(は)てをめざして、ドンドン歩いていきました。 
   そしてようやく、雪の女王のすんでいるお城(しろ)にたどり着(つ)きました。 
  「カイちゃんは、どこにいるのだろう」 
   ゲルダが城(しろ)のまわりをウロウロしていると、一匹(1ぴき)のカラスがやってきていいました。 
  「その子なら、王女さまと結婚(けっこん)して、王子さまになっているよ。つれていってあげるよ」 
   ゲルダがカラスと一緒(いっしょ)に、お城(しろ)に入っていくと、ご殿(てん)の奥(おく)で眠(ねむ)っている王子がいました。 
  「ああ、カイちゃん」 
   ゲルダがよぶと、王子は目をさましました。  
   よく似(に)てはいるけれど、目をあけた王子は、カイではありません。 
   ゲルダの話を聞いた王子は、馬車(ばしゃ)を用意(ようい)してくれました。 
   そして、馬車で進(すす)んでいくゲルダをつかまえたのは、山賊(さんぞく)です。 
  「金を出せ!」 
   山賊(さんぞく)は、ゲルダをしばりあげました。 
  「放(はな)しておやり」 
   ゲルダのロープを切ったのは、山賊(さんぞく)の娘(むすめ)です。 
   ゲルダは山賊(さんぞく)の娘(むすめ)に、カイの話をすると、こういいました。 
  「北の女の家にいってごらん」 
   娘(むすめ)はゲルダをトナ力イに乗(の)せて、北の女の家にいきました。 
  「雪の女王のご殿(てん)には、男の子がひとりいる。でも、その子は、なにもかもを忘(わす)れてしまっているのだ。だからその子が、カイだとしても、あんたがだれかわからないだろうよ。それでもいくのかい?」 
   北の家の女の言葉(ことば)に、ゲルダはきっぱりと答えます。 
  「いきます。大好(だいす)きな力イちゃんに、会いにいくわ」 
   カイは、雪の女王のご殿(てん)にいました。 
  「ぼくはどうしたのだろう。仲(なか)よしの友だちがいたはずなのに、その子の名まえも思い出せない」 
   つぶやくカイに、女王がいいました。  
  「おまえの心は凍(こお)ったのだ。ずっと、雪のご殿(てん)にいるほかないのさ」 
   ゲルダは、やっとのことで雪のご殿(てん)に着(つ)いて、カイを見つけました。 
  「ああ、力イちゃん、とうとう見つけたわ。会いたかった」 
   ゲルダは、力イにとびつきます。  
  「きみは、だれなの?」 
   たずねる力イを、ゲルダはゆさぶりました。  
  「ゲルダよ。力イちゃんの仲(なか)よしのゲルダなのよ」 
   ゲルダの目から、涙(なみだ)があふれて、カイのまぶたをぬらします。 
   するとその涙(なみだ)が、力イの目から、悪魔(あくま)のカガミのかけらを洗(あら)い落(お)としたのです。 
  「ああ、ゲルダ。ぼくはここで、なにをしていたんだろう」 
   ふたりは手をつないで、雪のご殿(てん)から出ていきました。 
  「あんたの仲(なか)よしを、見つけたのね」 
   ゲルダとカイを乗(の)せたトナカイに、手をふったのは、山賊(さんぞく)の娘(むすめ)です。 
  「もう二度(にど)と、離(はな)ればなれになってはいけないよ。ゲルダほど、あんたを大切に思っている子はいないんだから」 
   娘(むすめ)は、カイにいいました。 
  「わかった。ぼくはずっと、ゲルダのそばにいる」 
   カイとゲルダは、自分たちの家に帰るまで、ずっと手をにぎりしめていました。  
      おしまい 
        
       
         
         
        
      
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