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        2年生の世界昔話(せかいむかしばなし) 
          
          
         
裸(はだか)の王さま 
アンデルセン童話(どうわ) → アンデルセン童話(どうわ)のせつめい 
      
        
          | ♪音声配信(html5) | 
         
        
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          | 音声 得本綾(コトリボイス) ラジオHP | 
         
       
       
      
       むかしむかし、あるところに、たいへん着物(きもの)の好(す)きな、王さまがいました。 
   新(あたら)しいきれいな着物(きもの)をつくって、それを着(き)て歩(ある)くのが、大の楽(たの)しみです。 
   ある日、服職人(ふくしょくにん)を名のるふたりのペテン師(し)が、やってきていいました。 
  「わたしたちは、とても美(うつく)しい布(ぬの)をおることができます。その布(ぬの)はふしぎな布(ぬの)で、それでつくった着物(きもの)は、おろか者(もの)には見えないのです」 
  「それはおもしろい。さっそく布(ぬの)をおって、着物(きもの)をつくってくれ」 
   王さまは、うれしそうにいいました。  
  「それを着(き)て歩(ある)けば、家来(けらい)たちが、りこう者(もの)か、おろか者(もの)か、すぐ見分(みわ)けがつくわけだ」 
   ふたりのうそつき男は、布(ぬの)をおるのに入り用(いりよう)だといって、たくさんのお金を出させると、ねっしんにおりはじめました。 
   ほんとは、おっているようなふりをしていただけなのですが。  
  「いったい、どんな着物(きもの)だろう。はやく着(き)てみたいものだ」 
   王さまは、そのふしぎな着物(きもの)を、早く着(き)たくてなりません。 
   そこで、大臣(だいじん)にいいつけて、どのくらいできたか見にやりました。 
   大臣(だいじん)は、布(ぬの)をおっているふたりの男のそばへいってみてビックリ。 
  「???」 
   なにも、見えないからです。  
   でも、見えないといえば、自分(じぶん)はおろか者(もの)だということを、知(し)らせるようなものです。 
   そこで、王さまの所(ところ)へ帰(かえ)ると、 
  「まことに、みごとな布(ぬの)です。もうすぐできあがって、着物(きもの)にぬうそうです」 
  と、うそをいいました。 
  「そうか、それほどみごとな布(ぬの)か」 
   王さまは、自分(じぶん)でも見たくなり、あくる日、大臣(だいじん)を連(つ)れて、見に行(い)きましたが、いくら見ても、なにも見えないのでビックリ。 
  「???」 
   でも、見えないといえば、自分(じぶん)はおろか者(もの)だというようなものです。 
   王さまは、あわてていいました。  
  「なるほど、これはすばらしい。気にいったぞ。早く着物(きもの)にぬってくれ。近(ちか)いうちに行(おこな)われるお祭(まつ)りのときに、着(き)て歩(ある)きたいのだ」 
   さて、まもなく布(ぬの)はできあがり、急(いそ)いで着物(きもの)にぬわれました。 
   そして、お祭(まつ)りの日の朝(あさ)、ふたりの男がそれをご殿(てん)へ届(とど)けにきていいました。 
  「さあ、わたしたちが新(あたら)しい着物(きもの)をお着(き)せしますから、王さま、裸(はだか)になってください」 
   裸(はだか)になった王さまに、ふたりの男はできあがったことになっている、その着物(きもの)を、ていねいに着(き)せるふりをしました。 
   着(き)せ終(お)わると、そばにいた家来(けらい)たちは、 
  「まことに、よく似(に)あって、ごりっぱです」 
  「ほうとうに。それにしても、みごとな着物(きもの)です」 
  と、口ぐちにほめました。 
  「そうか、そんなによく似(に)あうか」 
   王さまは、いかにも満足(まんぞく)そうにいいました。 
  「新(あたら)しい着物(きもの)のうわさを聞(き)いて、町の者(もの)も早く見たがっておる。すぐに出発(しゅっぱつ)させよ」 
   王さまは行列(ぎょうれつ)をしたがえると、いばって、ゆっくり歩(ある)きました。 
        
       それを見たおおぜいの町の人たちは、目を見はりながら、わざと大きな声(こえ)で口ぐちに、 
  「なんてりっぱだろう、よくお似(に)あいだ」 
  「さすがは王さま。着物(きもの)がよくお似合(にあ)いだ」 
  と、いいました。 
   本当(ほんとう)は、みんな何(なに)も見えていないのですが、そんなことを人に知(し)られたら、自分(じぶん)はおろか者(もの)だと思(おも)われてしまいます。 
   そのときです。 
   行列(ぎょうれつ)を見ていた小さな子どもが、笑(わら)っていいました。 
  「わーい、おかしいな。裸(はだか)の王さまが、いばって歩(ある)いてる」 
   その声(こえ)を聞(き)いた町の人たちは、見えもしない着物(きもの)を見えるようなふりをして、うそをいっていたことがはずかしくなりました。 
   いや、それよりも、もっとはずかしかったのは、ペテン師(し)にだまされて、裸(はだか)で歩(ある)いていたことに気がついた王さまです。 
   でも、すぐに行進(こうしん)をやめるわけにはいきません。 
   王さまは、はずかしくてまっ赤になった顔(かお)のまま、行進(こうしん)を終(お)えると、逃(に)げるようにお城(しろ)へ帰(かえ)っていきました。 
      おしまい 
        
       
         
         
        
      
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