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        6年生の世界昔話 
          
          
         
赤い靴(くつ) 
アンデルセン童話 → アンデルセン童話のせつめい 
       むかしむかし、あるところに、カーレンという、かわいらしい女の子がいました。 
   カーレンは、お母さんとふたりですんでいましたが、ある時、お母さんが病気でなくなってしまいました。 
   お葬式(そうしき)の日、ひとりぼっちになったカーレンがないていると、お金持ちのおばあさんが、馬車(ばしゃ)で通りかかりました。 
   おばあさんはカーレンをかわいそうに思って、牧師(ぼくし)さんにいいました。 
  「どうか、わたしに、その子の世話をさせてくださいませんか」 
   こうしてカーレンは、おばあさんの家でくらすことになりました。  
   それからカーレンは、勉強をしたり、おさいほうをならったりしながら、楽しくくらしました。  
   むかしの貧乏(びんぼう)なくらしが、まるでうそのような、すてきな毎日でした。 
   ある日、女王さまがお姫(ひめ)さまをつれて、町へおいでになりました。 
   カーレンは家のまえに出て、その行列を見ました。  
   お姫(ひめ)さまは、きれいな服を着て、目のさめるような、美しいまっ赤な靴(くつ)をはいていました。 
   カーレンは、そのまっ赤な靴(くつ)の美しさを、わすれることができませんでした。 
   それから、何年かたちました。  
   カーレンも、そろそろ、おとなの仲間入りをする年です。  
   ある時カーレンは、靴屋(くつや)の店先で、お姫(ひめ)さまの靴(くつ)と、そっくりな赤い靴(くつ)を見つけました。 
  (いいなあ、あの靴(くつ)がほしいなあ)  
   カーレンが、その靴(くつ)をほしがっていることがわかったので、おばあさんは、その靴(くつ)をカーレンに買ってやりました。 
  「まあ、すてきな靴(くつ)をありがとう。これをはいて、教会へいってみたいわ」 
   それを聞いたおばあさんは、カーレンに注意しました。  
  「教会は黒い靴(くつ)をはいていくものです。赤い靴(くつ)をはいていってはいけませんよ」 
  「・・・はい」 
   けれどカーレンは、そのいいつけをききませんでした。  
   おばあさんが重い病気にかかって、ねこんでしまうと、いつもいつも赤い靴(くつ)をはいて教会へいきました。 
   教会では、おおぜいの人たちが、うらやましそうに自分の靴(くつ)を見ているように思えて、とてもうれしくなりました。 
  (みんな、わたしの靴(くつ)を見ている。うふふふふふっ)  
   ある日、カーレンは、ダンスパーティーにまねかれました。  
   パーティーにいきたいカーレンは、苦しそうにねているおばあさんのかんびょうもしないで、おしゃれに夢中になりました。  
   そして、赤い靴(くつ)をはいて、パーティーに出かけようとしました。 
   ところが、歩き出したとたん、たいへんなことがおこりました。  
   足がひとりでに動き出して、ダンスをおどり出したのです。  
  「わあ、とまらない、とまらないわ!」 
   やめようと思っても、自分ではどうにもなりません。  
   まるで靴(くつ)のいうなりになってしまったように、外へおどり出したのです。 
   カーレンは、おどりながら町を出て、とうとう、暗い森の中へ入っていきました。  
   すると木かげに、赤いひげをはやした気味の悪い魔法使(まほうつか)いのおじいさんがたっていて、 
  「ほほう、なんときれいなダンス靴(ぐつ)だ」 
  と、いうと、カーレンのおどりは、いよいよはげしくなりました。 
   そしてそれから、カーレンは夜も昼も、晴れた日も雨の日も、森や野原をおどりつづけました。  
   何日すぎたでしょうか。  
   もうフラフラになって、もといた家のそばまでおどりながらきた時、カーレンは、おばあさんのお葬式(そうしき)にであいました。 
   カーレンは、むねがはりさけそうになって、なき出しました。  
   あのやさしかったおばあさんが死んでしまったのは、自分のせいだと思ったからです。  
  「ああ、おばあさん、ごめんなさい。・・・神さま、どうか、どうかこのおろかなわたしを、おゆるしください」 
   カーレンの心は、おばあさんへのおわびの気持ちでいっぱいになりました。  
   その時、あたりに、サーッと、まばゆい光がさしてきました。  
   そして、光の中にまっ白い服をきた天使がたっていて、カーレンにほほえみました。 
   すると、あの赤い靴(くつ)がカーレンの足からぬげて、カーレンのおどりがようやく終わったのです。 
      おしまい         
         
        
       
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