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4年生の世界昔話
三人の糸つむぎ女
グリム童話 → グリム童話のせつめい
むかしむかし、あるところに、とてもなまけ者の娘(むすめ)がいました。
娘(むすめ)は、糸つむぎが大嫌(だいきら)いです。
ある日、お母さんがむりやり糸つむぎをさせようとすると、娘(むすめ)は大声で泣き出(なきだ)しました。
そのとき、この国の女王さまが、娘(むすめ)の家の前を通りかかりました。
そして、女王さまがたずねました。
「どうして、この娘(むすめ)は泣(な)いているのですか?」
お母さんは、娘(むすめ)がなまけ者なのを、恥(は)ずかしく思い。
「はい。この子は糸つむぎが大好(だいす)きで、いつも糸つむぎを止めさせようとすると、泣(な)くのです」
と、反対のことをいってごまかしました。
すると、女王さまは、
「そんなにはたらき者とは、感心な娘(むすめ)ですね。よろしい。城(しろ)へ連(つ)れて行って、好(す)きなだけ糸つむぎをさせてあげましょう」
と、娘(むすめ)をお城(しろ)に連(つ)れて行ったのです。
女王さまは、娘(むすめ)を糸つむぎ部屋につれていくと、言いました。
「ここには三つの部屋があります。この三つの部屋一杯(いっぱい)のアサを全部つむいだら、王子と結婚(けっこん)させてあげましょう」
(そ、そんなの出来ない。三百年かかっても無理(むり)だわ)
1人残(のこ)されて、娘(むすめ)が泣(な)いていると、どこからか、3人の不思議(ふしぎ)な女の人たちがあらわれました。
1人は、平べったい大きな足。
1人は、あごの下までたれ下がった、長いくちびる。
残(のこ)りの1人は、バナナほどの大きな親指をしていました。
3人は、娘(むすめ)に言いました。
「おまえを助けてあげよう。王子との結婚式(けっこんしき)に、わたし達(たち)3人を、おまえのおばとしてよんでくれるならね」
「ええ、約束(やくそく)するわ」
と、娘(むすめ)が言うと、3人はすぐに糸をつむぎ始めました。
大きな足の女が糸車をふみ、長いくちびるの女が糸をなめてしめらせ、大きな親指の女が、その糸を見事につむぎました。
次の日、女王さまは部屋いっぱいにつみあげられた糸の山を見て、すぐに娘(むすめ)と王子の結婚式(けっこんしき)の準備(じゅんび)に取りかかりました。
「王子や、こんなによくはたらく娘(むすめ)をお嫁(よめ)さんにもらえて、本当に良(よ)かったわね」
「はい、お母さま」
「これからは、毎日お嫁(よめ)さんに、糸をつむいでもらいましょうね」
「はい、お母さま」
女王さまも王子さまも、ごきげんでしたが、その言葉を聞いて、娘(むすめ)の顔はまっ青になりました。
(ええっ、毎日糸をつむがなければならないの! そんなことになったら、わたし死んでしまうかも)
娘(むすめ)は、糸を毎日つむぐぐらいなら、本当のことを話して、王子さまとの結婚(けっこん)はあきらめた方がいいと思いました。
「あの、王子さま。じつは・・・」
と、いいかけたところへ、あの3人の女があらわれたのです。
王子は、その女たちのきみょうな姿(すがた)にビックリして、3人にたずねました。
「なぜ、おばさまたちは、そんなに大きな足や、くちびるや、親指をしているのですか?」
「いつも、糸車をふんでいるからだよ」
「いつも、糸をなめるからだよ」
「いつも、糸をつむぐからだよ」
3人の女の返事を聞くと、王子さまはさけびました。
「いつも糸つむぎをすると、そうなってしまうのですか!」
3人の女たちは、ニッコリわらっていいました。
「そうだよ。王子さまの花嫁(はなよめ)も、そのうちわたしたちのようなすがたに、なるでしょうね」
「それは大変(たいへん)だ! よし、花嫁(はなよめ)には、糸つむぎを一生させないようにしよう!」
と、言うわけで、糸つむぎのきらいな娘(むすめ)は、糸つむぎを一生しなくてもいいことになり、やさしい王子さまとしあわせにくらしました。
おしまい
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