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        5年生の世界昔話 
          
          
         
竹になった娘(むすめ) 
朝鮮半島(ちょうせんはんとう)の昔話 → 朝鮮半島のせつめい 
      
       むかしむかし、タエという名まえのきれいな娘(むすめ)がいました。 
   タエはやさしいお父さんとお母さんに見まもられて、スクスクと育ちました。 
   ところがタエが十一歳(11さい)になった時、お母さんが重い病気になって死んでしまいました。 
   タエは悲しくて悲しくて、いつまでもないていました。  
   お父さんは、小さなタエがかわいそうでなりません。  
   そこで新しいおくさんをもらうと、タエの世話をたのんでいいました。  
  「どうか、娘(むすめ)をかわいがっておくれ」 
   新しいおくさんは、  
  「もちろんですとも」 
  と、いいましたが、心の中ではタエがじゃまでたまりません。 
  「なんで、こんな子のめんどうをみなくちゃならないのかしら。この子がいなければ、もっとすきなことができるのに」 
   まま母はタエを見るたびに、そんなことを考えました。  
   ある日、お父さんが遠いところヘ旅に出ることになりました。  
  「今度は、長いあいだ帰ってこられないから、くれぐれもタエのことをたのむよ」 
   お父さんはまま母にそういうと、心配そうにタエを見ながらいってしまいました。  
  「タエを殺してしまうなら、今だわ!」 
   まま母は、おそろしいことを思いつきました。  
   おもちに毒(どく)をまぜて、タエに食ベさせるのです。  
  「さあタエ、お食ベ。おいしいおもちだよ」 
   まま母におもちをすすめられて、タエはヘんだなと思いました。  
   いつも、まま母には、いじ悪ばかりされていたからです。  
  「でも、せっかくおかあさまがつくってくれたおもちですもの。うたがっては悪いわ。いただきます」 
   タエは思いなおすと、まま母にお礼をいっておもちを食べました。  
   毒はあっというまにきいて、タエはその場にたおれて死んでしまいました。  
   まま母は、タエの死体を家のうらの畑にうめました。  
  「ここなら、だれにもわからないわ」 
   それからしばらくたったある日、タエがうめられたところから一本のくきがはえてきました。  
   そのくきは長くのびて、細い枝(えだ)と細い葉をつけました。 
  「あのくきを、わたしにください」 
   見知らぬ男がやってきて、まま母にたのみました。  
   まま母はカマでくきをきると、その男にやりました。  
   男はくきをうけとると、笛(ふえ)にしてふき出しました。  
   すると、こんな音が出てきたではありませんか。  
  ♪おとうさま おかあさま。 
  ♪娘(むすめ)のタエは、殺されたの。 
  ♪新しいおかあさまに、殺されたの。 
  ♪このくきは、わたしの骨(ほね)の一本よ。 
   それを聞くと、まま母はブルブル体をふるわせて、男をおいはらおうとしました。  
   けれど男は、そこらじゅうを走りまわって笛をふきつづけました。  
   ちょうどそこへ、長いあいだ旅に出ていたお父さんが帰ってきました。  
   お父さんは、ふしぎな笛の音を聞くと、  
  「これはいったい、どうしたことだ?」 
  と、まま母や近所の人にたずねました。 
   やがて本当のことがわかると、お父さんはおこって、まま母を殺してしまいました。  
   タエがうめられた場所からは、いつも同じ長いくきがはえました。  
   やがて人びとはそのくきをタエ(竹)とよび、かわいそうな娘(むすめ)を思い出すのでした。 
      おしまい         
         
        
       
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