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        6年生の世界昔話 
          
          
         
ガチョウ番の少女 
グリム童話 →グリム童話のせつめい 
      
      
        ※ 朗読は「小学生童話 6年生用で、本作とは多少異なります。   
         
      
      
       
      
       むかしむかし、あるところに、年おいた妃(きさき)とお姫(ひめ)さまが住んでいました。 
   お姫(ひめ)さまが、ある国へお嫁(よめ)にいく日がやってきました。 
   妃(きさき)はたくさんの嫁入(よめい)り道具を持たせると、お姫(ひめ)さまの侍女(じじょ)もウマに乗せて送りだしました。 
   その時、妃(きさき)は自分の血を三滴(3てき)たらした白い布を渡(わた)し、 
  「きっと、何かの役に立つでしょう」 
  と、いいました。 
   
   移動の途中(とちゅう)、お姫(ひめ)さまはのどがかわいて侍女(じじょ)にたのみました。 
  「あの、のどがかわいたので、川の水をくんできてくれませんか?」 
   すると侍女(じじょ)は、 
  「ふん! えらそうに。自分でくんできなさいよ!」 
  と、いって、いうことを聞いてくれません。 
   お姫(ひめ)さまがなげいていると、妃(きさき)にもらった三滴(3てき)の血がいいました。 
  「これをお妃(きさき)さまが知ったら、心臓(しんぞう)がはれつなさいますよ。さあ、もういちど、侍女(じじょ)に命令するのです」 
  「でも・・・」 
   おとなしいお姫(ひめ)さまは、なにも言えませんでした。 
   しばらくすると、侍女(じじょ)がお姫(ひめ)さまにいいました。 
  「あんた、あたしとウマをかえなさい! いいウマに乗るのはあたしよ。それから、服も取りかえるのよ!」 
  と、いったのです。 
   お姫(ひめ)さまはしかたなく、ウマと服を取りかえると、侍女(じじょ)のウマに乗ったままで、結婚相手(けっこんあいて)の王の待つ城(しろ)へととうちゃくしました。 
   
   お姫(ひめ)さまのウマにのった侍女(じじょ)は、王さまの前に進み出るといいました。 
  「こんにちは、王さま。わたしが、王子さまの結婚相手(けっこんあいて)の姫(ひめ)です。そしてあれはわたしの侍女(じじょ)です。役立たずですが、こき使ってやってください」 
   侍女(じじょ)の言葉に、お姫(ひめ)さまはビックリ。 
  「あ、あの。わたしは・・・」 
   お姫(ひめ)さまが本当のことを言おうとすると、お姫(ひめ)さまに化けた侍女(じじょ)が、こわい顔でにらみました。 
  「はやく下がりなさい! クズクズすると、ムチを打つわよ!」 
   こうしてこの日から、お姫(ひめ)さまはガチョウの世話をする、ガチョウ番になってしまったのです。 
   
   さて、お姫(ひめ)さまに化けた侍女(じじょ)は、すっかりお姫(ひめ)さま気取りで、結婚相手(けっこんあいて)の王子にたのみました。 
  「わたしの連れてきたウマを、殺してくださいな」 
   侍女(じじょ)は、自分の秘密(ひみつ)を知っているウマが、いつ本当のことを告げてしまうかと、心配でならなかったのです。 
   こうして、お姫(ひめ)さまのウマは殺されました。 
   ガチョウ番になったお姫(ひめ)さまは、この話を聞くとたいへんかなしみ、ウマの皮をはごうとする職人にたのんで、その首をもらうと、門の壁(かべ)にかざりました。 
   それから、ガチョウ番のお姫(ひめ)さまは、ガチョウの世話をするたびに、そのウマの首に話しかけたのです。 
   その事を知ったまわりの人たちは、気持ち悪がって、この話しを王さまに報告しました。  
  「そのガチョウ番ときたら、ウマの首と会話してるのです。しかも、ウマの首もそれに返事をするのですよ」 
  「そうか。もしかするとそのガチョウ番は、魔女(まじょ)かもしれない。よし、たしかめてみよう」 
   そして、娘(むすめ)とウマの会話をきいた王さまは、彼女(かのじょ)こそが本当のお姫(ひめ)さまで、王子と結婚(けっこん)しようとしている女が侍女(じじょ)だと知ったのです。 
   王はガチョウ番の娘(むすめ)をよぶと、彼女(かのじょ)に王女の衣装(いしょう)をきせてみました。 
   すると、あの侍女(じじょ)とは、比べものにならないほどの美しさです。 
   さっそく王さまは王子をよんで、こっちが本物のお姫(ひめ)さまだと告げました。 
   本物のお姫(ひめ)さまの美しさに一目惚(ぼ)れした王子は、ニセ者のお姫(ひめ)さまにワナをしかけることにしました。 
   
   その日の夜はパーティーです。 
   王子は、ニセ者のお姫(ひめ)さまにたずねました。 
  「じつは、自分の主人をだまして、その主人の相手と結婚(けっこん)しようとする女がいるのだが、姫(ひめ)はどうするべきだと思う?」 
   まさか、自分の事とは思っていない、ニセ者のお姫(ひめ)さまは、 
  「そんなとんでもない女は、すぐに死刑(しけい)にするべきでしょう」 
  と、答えたのです。 
  「そうか、ではそうしよう」 
   ニセ者のお姫(ひめ)さまは、すぐに死刑(しけい)になりました。 
   そして本物のお姫(ひめ)さまは王子さまと結婚(けっこん)して、いつまでもしあわせにくらしたのです。 
      おしまい         
         
        
       
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