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        6年生の世界昔話 
          
          
         
つぐみのひげの王さま 
グリム童話 →グリム童話のせつめい 
      
       むかしむかし、ある国に、とてもわがままなお姫(ひめ)さまがいました。 
   王さまは、結婚(けっこん)したらきっと、お姫(ひめ)さまのわがままがなおるだろうと思って、となりの国の若(わか)い王さまにお姫(ひめ)さまを会わせました。 
  「なによあれ。あごが曲がって、つぐみがひげを生やしているみたいだわ。あんな男、大きらい!」 
   お姫(ひめ)さまはそう言って、結婚(けっこん)をことわりました。 
   王さまはおこって、お姫(ひめ)さまに命令(めいれい)しました。 
  「人の顔を笑い者にするとはなさけない! おまえはこんど来るこじきと結婚(けっこん)して、城(しろ)を出ていけ!!」 
   そして、城(しろ)にやってきたこじきとほんとうに結婚(けっこん)させて、城(しろ)を追い出してしまったのです。 
   お姫(ひめ)さまは、泣きながらこじきの後を歩いていきました。 
   途中(とちゅう)で、大きな森や牧場(ぼくじょう)、それににぎやかな都(みやこ)を通りました。 
  「これはみんな、つぐみのひげの王さまのものさ」 
   こじきは言いました。  
   お姫(ひめ)さまは、 
  (こんなことなら、あの人と結婚(けっこん)すればよかった) 
  と、思ったのですが、もうどうしようもありません。 
   さて、こじきはお金がありませんので、お姫(ひめ)さまもはたらかなくてはなりません。 
   そこで、つぐみのひげの王さまのお城(しろ)に行き、お城(しろ)の台所ではたらくことにしたのです。 
   でも、家事(かじ)はなにも出来ないお姫(ひめ)さまは、なにをやっても失敗ばかり。 
   そんなある日、お城(しろ)でパーティーが開かれました。 
   するととつぜん、つぐみのひげの王さまが台所に現れて、お姫(ひめ)さまに言いました。 
  「お嬢(じょう)さん、わたしとおどっていただけませんか?」 
  「えっ? ・・・あの、その」 
   ビックリするお姫(ひめ)さまの手を、つぐみのひげの王さまがグイッとひっぱりました。 
   そのとたん、服の下からツボがゴロンと転がり落ちました。  
   そのツボには、食べ物の切れはしがいっぱい入っていました。  
   お姫(ひめ)さまがこじきと食べるため、こっそりためておいた物です。 
  「ワハハハハッ。なんだあの娘(むすめ)は」 
   まわりにいた人は、大笑いです。  
   まっ赤になったお姫(ひめ)さまは、転がり落ちたツボを大切にかかえると、そのままその場を逃げ出(にげだ)そうとしました。 
   すると、王さまはお姫(ひめ)さまをだきとめて、お姫(ひめ)さまを引きとどめました。 
   そしてポケットから、きたないボウシとマフラーを取り出して、それをかぶりました。  
  「あなたは、わたしの顔を忘(わす)れたのかい?」 
   そのボウシとマフラーは、あのこじきの物だったのです。  
  「ああ、あなたは、わたしのだんなさま・・・・」 
  「そうです、わたしは、あなたのわがままをなおすため、こじきになっていたのです。いままで、つらい思いをさせてもうしわけない。でも、そまつな食べ物でも大切にしているところを見ると、あなたのわがままは、もうすっかりなおったようですね。お姫(ひめ)さま、今度はこじきとしてではなく、つぐみのひげの王としてあなたをおきさきにむかえたい。どうでしょう、こんな顔のわたしでも、受け入れてくれますか?」 
   お姫(ひめ)さまは、おどろいたり喜んだり。 
   それから、お姫(ひめ)さまとつぐみのひげの王さまは正式に結婚(けっこん)して、いつまでも幸せに暮(く)らしたということです。 
      おしまい         
         
        
       
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