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福娘童話集 > 絵本紙芝居(アニメかみしばい) >金のナスビ
金のナスビ
※ アニメーションではありません。 動画サイズ
Max 720p youtubeの設定で変更可能
制作 : 声のビタミン なっチャンネル
むかしむかし、ある国の殿さまには、とても美しいおきさきがいました。
おきさきはみごもっていましたが、殿さまはまだ知りません。
ある日の事、おきさきは殿さまのごはんを運ぶ途中、「プッ」と、小さなおならをしてしまいました。
すると殿さまは怒って、
「無礼者! お前の様な者は、島流しじゃ!」
と、おきさきを遠くの島へ島流しにしたのです。
島流しにされたおきさきは、その島で男の子を産んで育てて、いつしか十年あまりがたちました。
ある日の事、おきさきは子どもから、
「どうして家には、おとうがおらんの?」
と、尋ねられて、島流しにされた理由をありのままに話しました。
「そうか。おらのおとうが殿さまだなんて知らなかった。・・・よし、おら、殿さまに会って来る」
男の子は一人で舟をこいで海を渡ると、お城の近くでナスビのなえを売り歩きました。
「えー、金のナスビのなるなえは、いらんかなあ。金のナスビのなえ」
その声を聞いて、殿さまはさっそく男の子をお城に呼びました。
「金のナスビがなるとは、実にめずらしい。全部買ってもよいが、そのなえは、誰にでも育てられるのかな?」
殿さまが尋ねると、男の子が答えました。
「誰にでも、というわけではありません。でも、生まれて一度もおならをしたことのない人が育てれば、それは見事な金のナスビが出来ます」
男の子の返事に、殿さまは怒り出しました。
「馬鹿者! この世のどこに、一度もへをしない者がおるか。いいかげんな物を売り歩くと、ただではおかんぞ!」
「おや? では殿さまにうかがいますが、この国ではおならをしても、罪にはならないのですか?」
「あたりまえじゃ! そんな事をいちいち罪にしていたのでは、国がなりたってゆかん」
「そうですか。
けれど、わたしの母はむかし、小さなおならをひとつしただけで島流しにされました。
それを、お忘れでしょうか?」
「なっ、何じゃと・・・」
殿さまはハッとして、男の子を見つめました。
よく見ると、目も口元も、自分にそっくりです。
「すると、お前は、もしや・・・」
くわしいわけを聞くと、殿さまは男の子が自分の子どもだとわかりました。
「今まで、つらい思いをさせてすまなかった。すぐに、妻を島へ迎えに行こう」
その後、お母さんと男の子は、お城で幸せに暮らしたのでした。
おしまい
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