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          カッパのわび証文 
         
        
         
         
        カッパのわび証文 
        百物語 
         
        オリジナル版 
      
       むかしむかし、最上川(もがみがわ→山形県)のほとりに庄屋(しょうや)の家があり、庄屋さんには美しい一人娘がいました。 
 その一人娘が最近元気がなくなり、顔色も青ざめてきたのです。 
 医者に見せても病気ではないというし、娘にどこか具合が悪いかと聞いても首を横に振るだけです。 
 困った庄屋さんは、知り合いの巫女(みこ)に娘をみてもらいました。 
 すると巫女は、娘を一目見て言いました。 
「娘さんは、カッパに見込まれて術をかけられています。 
 わたしの力では無理ですが、法力のあるお坊さまなら、道切り(みちきり)の呪文(じゅもん)でカッパを捕まえる事が出来るでしょう」 
 そこで庄屋さんは、古いお寺の和尚(おしょう)さんに道切りの呪文を頼みました。 
「よろしい。カッパが人間の女に心を寄せるなど、とんでもない事。こらしめてやりましょう」 
 和尚さんはカッパのいる川に行って、道切りの呪文を唱え始めました。 
 すると不思議な事に、川の水がみるみる減り始めたのです。 
 川の水が減って川幅がせまくなると、和尚さんは川に向かって大声で叫びました。 
「カッパよ! 
 庄屋の娘の術を解き、二度と人間に悪さをしないと約束せい! 
 明日の朝までに約束の証文(しょうもん)を持って来ない時は、川の水を枯らしてくれようぞ!」 
 すると川の底から、苦しそうな声が聞こえてきました。 
「悪かった。明日の朝、必ず証文を持っていこう」 
 
 庄屋さんが家に帰ると、カッパにかけられた術がとけたのか、娘はすっかり元気になっていました。 
 
 次の朝、和尚さんが山門に出てみると、一巻のわび証文が置いてあり、それからカッパが人間に悪さをする事はなかったそうです。 
 
 今でも高畠町糠野目(たかはたちょうぬかのめ)のあるお寺には、このカッパのわび証文が残されているという事です。 
      おしまい 
      この作品は、読者からの投稿作品です。 
           
         
      作者 :つれづれ居士         
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