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        福娘童話集 > アニメかみしばい プリンの塩加減 
         
          プリンのしおかげん 
         
        
         
        イラスト 千代田企画 
         
        アメリカの昔話 → アメリカのせつめい 
      
       むかしむかし、アメリカの田舎町に、プリン作りの上手なシンプソンおばさんがいました。 
         
         ある日、シンプソンおばさんはパーティーを開いて、みんなにとびきりおいしいプリンをごちそうする事にしました。 
         シンプソンおばさんは火をおこすと、プリンをコンロにかけました。 
        「後は、焼き上がるのを待つだけね。・・・そうそう。お客さまがみえるのだから、この間にお掃除をしましょう」 
         シンプソンおばさんは、窓をふいたり床をはいたりと大いそがしです。 
         しばらくしてシンプソンおばさんは、ある事を思い出しました。 
        「いけない。プリン作りに大事な塩を入れ忘れたわ!」 
        シンプソンおばさんのプリンがおいしい秘密は、ほんのちょっぴり隠し味として入れる塩です。 
         あまいプリンに、塩を入れるの? 
        と、思うかもしれませんが、これがないとプリンがおいしく出来ません。 
         シンプソンおばさんはプリンに塩を入れようとして、自分の手が汚れているのに気づきました。 
        「あら、お掃除で手がまっ黒ね。・・・そうだ、長女のスウに頼みましょう」 
         シンプソンおばさんには、三人の娘がいました。 
         一番上が、「スウ」 
         二番目が、「セイリイ」 
         三番目が、「リル」です。 
         シンプソンおばさんは、自分の部屋にいるスウに頼みます。 
        「スウ。プリンに塩を入れておくれ。わたしの手は、まっ黒だから」 
        「だめよ、お母さん。あたし、パーティーで着る服をぬっているの」 
        「そう。・・・じゃあセイリイ、お願いだからプリンに塩を入れて」 
        「だめ。リルにさせてよ。あたし今、パーティーにはくクツにあぶらをぬっているんだから」 
        「そう。・・・じゃあリル、お願いだからプリンに塩を入れてね」 
        「あたしもだめ。今、お気に入りのリボンを探しているの。パーティーにはあのリボンをつけると、前から決めているの」 
         みんなにことわられて、シンプソンおばさんはがっかりです。 
        「やれやれ。自分で入れるしかないのね」 
         シンプソンおばさんは手を洗うと、自分でプリンに塩を入れました。 
         
         さて、プリンに塩を入れたシンプソンおばさんが掃除に戻ると、リボンが見つかったリルが台所にやって来て、プリンに一つまみの塩を入れました。 
         リルが出て行ったあと、クツにあぶらをぬり終わったセイリイが台所にやって来て、プリンに一つまみの塩を入れました。 
         服をぬいあげたスウも台所にやって来て、プリンに一つまみの塩を入れました。 
       こうしてシンプソンおばさんのプリンは、とても塩からくなってしまいました。 
       
       その夜、パーティーに集まったお客さんたちに、シンプソンおばさんは切り分けたプリンを配りました。 
        「さあ、お待ちどおさま。まずは、神父さんからどうぞ」 
        「はい、ありがとうございます。こんなにおいしいプリンが食べられるのは、神さまのおかげです」 
         
        神父さんは口を大きく開けると、パクリとプリンを食べました。 
         すると、そのとたん、 
        「ウヒャァー!!」 
        と、神父さんは、すぐに水の入ったコップに飛びつきました。 
        
         みんなは何がおこったのかわからず、ポカーンとしています。 
        「これは、どういう事かしら?」 
        
         シンプソンおばさんはプリンの味見をして、すぐに原因がわかりました。 
        「からい! このプリンに塩を入れたのは、一体誰なの?!」 
        「わたしよ」 
        と、スウが言いました。 
        「あら、わたしも入れたわ」 
        と、セイリイも言いました。 
        「わたしも!」 
        と、最後にリルも言いました。 
        「おやおや。でもこれで、プリンは塩加減が大事だっていう事がわかったでしょう」 
        「はーい」 
        
       シンプソンおばさんの言葉に反対する人は、誰もいませんでした。 
      おしまい 
         
           
           
           
          
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