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    福娘童話集 > 絵本紙芝居(アニメかみしばい) だんなさまの中のだんなさま 
         
          だんなさまの中のだんなさま 
           
          アニメサイズ
        Max 1920×1080 字幕「日本語」 
        ※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿参加希望は、メールをお送りください。→連絡先 
        
         
        イラスト 「あっこ」  Twitter 
         
        だんなさまの中のだんなさま 
        イギリスの昔話 → イギリスの情報 
         
        イラスト版 
      
       むかし、女の子がお手伝いさんになるために町へ行きました。 
 すると、一人のおじいさんが現れて、 
「お手伝いになりたいのなら、どうかわしの家で働いてくれ」 
と、女の子を家に連れて行ったのです。 
 
 さて、このおじいさんはとてもおかしな人で、家にある物はみんな別の名前をつけていました。 
「さて、わしの事を何と呼ぶかね?」 
 おじいさんが言うので、女の子が答えました。 
「はい。だんなさまでも、ご主人さまでも、お好きな呼び方をしますわ」 
 するとおじいさんは、首を振って言いました。 
「それじゃだめだ。わしの事は、『だんなさまの中のだんなさま』と呼べ」 
「・・・はあ」 
 それからおじいさんは、ベッドを指差して言いました。 
「これは、何と呼ぶね?」 
「ベッドとか、ねむりいすですか?」 
「ちがう。これは、『しがみつき』と呼ぶんだ。ところで、こいつは?」 
 おじいさんは、自分のはいているズボンを指差しました。 
「ズボンとか、パンツとか」 
「いいや、これは『ばくちくと花火のつつ』と言うのだ」 
 そこへ、一匹のネコがやって来ました。 
「こいつは、何と呼ぶかね?」 
「さあ? 普通なら、ネコとか、ニャンコですか?」 
「いいや、こいつは『白い顔のわからんやつ』と言うのだ」 
 それからおじいさんは火の事を、『かっかときているチャボ』と言い、水の事を、『ピチャピチャしている池』と言いました。 
 そして最後に、おじいさんは家の中をぐるりと指差して言いました。 
「それじゃ、この全部を何と呼ぶかね?」 
「部屋とか、家とか」 
「だめだ、だめだ。ここは、『せい高山』と呼ばないといけない」 
 
 さてその晩、暖炉のそばで寝ていたネコの尻尾に火がついたので、女の子はおじいさんの部屋の戸を叩いて叫びました。 
「『だんなさまの中のだんなさま』 
 『しがみつき』から起きて、 
 『ばくちくと花火のつつ』をはいてください。 
 『白い顔のわからんやつ』の尻尾に、 
 『かっかときているチャボ』が、つきました。 
 早く、『ピチャピチャしている池』を持ってこないと、 
 『せい高山』が、 
 『かっかときているチャボ』になりますよ!」 
 すると、それを聞いたおじいさんは首を傾げました。 
「はて? 
 『だんなさまの中のだんなさま』は、わしの事だな。 
 『しがみつき』とは、たしか・・・」 
 おじいさんは、自分で名前を付けていたのにそれを忘れてしまい、女の子が何を言っているのかわかりませんでした。 
 そして考えている間に火が大きく広がって、とうとう家が燃えてしまったのです。 
      おしまい 
         
          
           
          
          
       
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