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福娘童話集 > 絵本紙芝居(アニメかみしばい) ウサギのツノ(4k HD)
ウサギのツノ(4k HD)
アニメサイズ
Max 2880×2160
ウサギのツノ 4k HD
イラスト版 えほん版
むかしむかし、ゾウはビールやごちそうを用意すると、動物たちを呼んで宴会(えんかい)を開きました。
集まった動物たちに、ゾウが言いました。
「このビールは、ツノのあるものだけに飲ませてやる。ツノのないものはだめだ」
それを聞いたウサギは、自分にツノがないのがざんねんでなりません。
「ビールは、おいしいんだろうなあ。ツノがあれば、ビールが飲めるのに。
・・・そうだ、ツノを手に入れればいいんだ」
そこでウサギはしげみにかくれて、若いシカが来るのを待ちました。
そしてシカがしげみのそばを通りすぎようとしたとき、
「今だ!」
ウサギはシカの背中に飛び乗ると素早くシカのツノを切り取って、自分の頭にはりつけたのです。
「よしよし、これでビールが飲めるぞ」
ツノを手に入れたウサギは、大いばりでゾウの宴会に出かけていきました。
「ゾウさん。ぼくにもビールをください」
「ウサギはだめだ。言っただろう、ツノのないものは・・・。おや?」
ゾウはウサギを見ると、びっくりして言いました。
「何と、ウサギにもツノがあったのか。しかもどの動物よりも、立派ではないか。
たいしたものだ。さあさあ、えんりょなく飲め」
生まれて初めてビールを飲んだウサギは、ビールをだれよりもたくさん飲みました。
「ぷはーーっ! 良い気持ちだ。ビールとは、なんとおいしい飲み物だろう」
ウサギは酔っぱらって、足元がフラフラです。
するとそこへ、年寄りのシカがやって来ました。
ウサギは、シカに言いました。
「おやおや、ずいぶんおそくおいでだね? おじいさんには、ツノがないのかい?」
「わしは、お前がどんな顔をしてビールを飲んでいるか、見物に来たのさ」
年寄りのシカはウサギに近づくと、ヒソヒソ声で言いました。
「わしは、お前がツノを切り取ったシカのおじだ。あんまりフラフラしていると、はりつけたツノが取れてしまうぞ」
お客の動物たちはシカの言葉を聞いて、こちらに集まってきました。
ウサギは、むりやり笑って答えました。
「あはははは。このおじいさん、ごちそうを食べ過ぎて頭がおかしくなったんですよ。このツノは、生まれたときからわたしのツノですよ」
年寄りのシカはそれを聞いて、大声で言いました。
「あんまりフラフラしていると、はりつけたツノが取れてしまうぞ!」
それを聞いて、ゾウとお客の動物たちはウサギのツノをジロジロながめました。
(これはまずい、どうしよう?)
ウサギは怖くなって、ガタガタとふるえ出しました。
するとそのはずみで、頭にはりつけたツノがポロリと地面に落ちてしまいました。
「わあー! ごめんなさーい!」
ウサギはあわてて、逃げていきました。
おしまい
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