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福娘童話集 > 絵本紙芝居(アニメかみしばい) つぐみのひげの王さま

つぐみのひげの王さま
アニメサイズ Max 1920 ×1080 字幕「日本語」

イラスト 「ゆめみ 愛」  運営サイト 「夢見る小さな部屋」

つぐみのひげの王さま
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イラスト版

 むかしむかし、ある国に、とてもわがままなお姫さまがいました。
「姫のわがままにも、困ったものだ。しかし結婚すれば、姫も変わるだろう」
 そう考えた王さまは、お姫さまを隣の国の若い王さまに会わせました。
 しかし、お姫さまは、
「何よ、あれ。あごが曲がって、まるでつぐみがひげを生やしているみたいだわ。あんな男、大嫌いよ! ふん!」
と、言って、結婚をことわりました。
 それを聞いた王さまは怒って、お姫さまに命令しました。
「よりによって、人の顔を笑い者にするとは、なんとなさけない! お前は今度来るこじきと結婚して、城を出ていけ!!」
 そして城にやってきた汚いボウシとマフラー姿のこじきと本当に結婚させて、城を追い出してしまったのです。

 お姫さまは泣きながら、こじきの後を歩いていきました。
 途中で大きな森や牧場、それに、にぎやかな都を通りました。
「わあ、きれいな都」
 お姫さまが感心すると、こじきが言いました。
「これはみんな、つぐみのひげの王さまのものさ」
 それを聞いたお姫さまは、
(ああ、こんな事なら、あの王さまと結婚すればよかった)
と、思ったのですが、もうどうしようもありません。

 さて、こじきはお金を持っていないので、お姫さまも働かなくてはなりません。
 そこで、つぐみのひげの王さまのお城に行って、お城の台所で働く事にしたのです。
 でも、家事は何も出来ないお姫さまは、何をやっても失敗ばかり。
「何を、ぐずぐずしているんだい! じゃまだよ!」
「あんた、ほんと不器用だね!」
「そんな事じゃ、お給金はあげないよ!」
 いつも、ののしられる毎日です。

 さて、そんなある日の事、お城でパーティーが開かれました。
 すると突然、つぐみのひげの王さまが台所に現れて、働いているお姫さまに言ったのです。
「お嬢さん、わたしと踊っていただけませんか?」
「えっ? ・・・あの、その」
 ビックリするお姫さまの手を、つぐみのひげの王さまがグイッと引っ張りました。
 そのとたん、服の下からツボが、ゴロンと転がり落ちました。
 そのツボには、食べ物の切れはしが入っていました。
 お姫さまがこじきと食べるため、こっそりためておいた物です。
「ワハハハハッ。何だい、あの娘は」
「あんな残飯を、後生大事に持っているなんて」
 まわりにいた人たちは、大笑いです。
 まっ赤になったお姫さまは転がり落ちたツボを大切にかかえると、そのまま逃げ出そうとしました。
 すると王さまがお姫さまを抱きとめて、ポケットから取り出した汚いボウシとマフラーをかぶって言いました。
「あなたは、わたしの顔を忘れたのかい?」
 そのボウシとマフラーは、あのこじきの物だったのです。
「あっ、あなたは、わたしのだんなさま・・・・」
「そうです。
 わたしはあなたのわがままをなおすため、あなたの父上と相談してこじきになっていたのです。
 今まで、つらい思いをさせてもうしわけない。
 でも、そまつな食べ物でも大切にしているところを見ると、あなたのわがままは、もうすっかりなおったようですね。
 お姫さま、今度はこじきとしてではなく、つぐみのひげの王としてあなたをおきさきにむかえたい。
 どうでしょう、こんな顔のわたしでも、受け入れてくれますか?」
 お姫さまは、驚いたり喜んだり。
 お姫さまは、涙を浮かべながら言いました。
「はい。だんなさま」

 それからお姫さまとつぐみのひげの王さまは正式に結婚して、いつまでも幸せに暮らしたということです。

おしまい

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