福娘童話集 > アニメかみしばい 若者に恋をした魔女 後編 
         
          若者に恋をした魔女 後編 
         
          
イラスト 和穗かなた  運営サイト ここあ 
         
        若者に恋をした魔女 後編 
        福娘オリジナル童話 
         
        アニメ紙芝居版へ 
        アニメサイズ
        Max 2880×2160  
        
     
      
      ・前編のあらすじ 
        
              @ 若者に恋をした魔女。 
        A 魔女は若返り薬を作りました。 
        B 若返り薬を飲んだ魔女は、美しい少女に。 
        C 若返った魔女と青年は恋に落ちました。 
        D しかし、若返り薬の効き目はだんだん弱くなっていきます。 
        E そんなある日、若者が魔女に「好きです」と言ってくれました。  
       
      若者に恋をした魔女 後編 
               次の日、魔女はついに決心をして、愛する青年に言ってみました。 
        
              「わたしも、あなたの事が好きなの。 
         でも、わたしにはあなたに言えない秘密があります。 
         こんなわたしでも、あなたは結婚してくれますか?」 
         すると青年は、にっこり微笑んで言いました。 
        
              「人には誰でも、人に言えない秘密があるものです。 
        
               あなたがどんな秘密を持っていても、あなたへの愛は決して変わりませんよ」 
         こうして二人は、次の日に二人だけの結婚式をする事にしたのです。 
        
               結婚式の朝、魔女は若返りの薬を、まと めて三本飲むことにしました。 
         強い薬なので、こんなに飲むのは体に良くありませんが、これだけ飲めば今日一日は若いままでいられるでしょう。 
         青年は魔女の家にやって来ると、魔女に誓いの言葉を言いました。 
        
              「わたしは、あなたをずっと愛する事を誓います。 
         たとえあなたに、どんな秘密があろうとも。 
         わたしのあなたへの気持ちは、永遠に変わりません」 
        「うれしい」 
        
               魔女はうれし涙を流しながら、青年と誓いのキスをしました。 
         
       しかしこの時、さっき飲んだばかりの三本の若返り薬の効果が切れて、 
        
       魔女はしわくちゃのおばあさんの姿になってしまったのです。 
         魔女はその場にしゃがみ込むと、顔を手で覆って青年に謝りました。 
        
              「ごめんなさい! 
         これがわたしの、本当の姿なの。 
         あなたに嫌われないようにと、あなたに会う時はずっと若返り薬を飲んでいたの」 
         魔女の告白に、青年はにっこりと微笑みました。 
         実はこの青年、娘と毎日会っているうちに、娘の本当の姿に気づいていたのです。 
       しかし青年はそれを知っていながら、魔女との結婚を決めたのでした。 
        
               青年は魔女に気づかれないように小瓶に入った薬を取り出すと、 
        
       それを飲み込んで魔女に言いました。 
        「言ったでしょう。 
         あなたへの気持ちは、永遠に変わらないと。 
         それに秘密があるのは、あなただけではありません。 
         このわたしにも、秘密があります。 
         さあ、ごらんなさい。 
         このわたしの顔を」 
        
               そう言われて魔女が顔を上げると、 
        
       青年の美しい顔にどんどんしわが出来て、自分と変わらないほどのおじいさんになったのです。 
         さっき青年が飲み込んだ薬は、若者をおじいさんに変えてしまう薬でした。 
         でもその事は言わずに、おじいさんになった青年はにっこり微笑むと、魔女にこう言いました。 
        
              「これが、わたしの本当の姿です。 
         わたしもあなたに気に入られようと、あなたに会う時は若返りの薬を飲んでいました。 
         あらためて、あなたにお聞きします。 
         こんなわたしでも、結婚していただけますか?」 
        
              「ええ、よろこんで」 
        
               こうして魔女のおばあさんとおじいさんになった青年は結婚をして、いつまでも幸せに暮らしました。 
      おしまい 
         
          
           
          
          
            |