
  福娘童話集 > きょうのイソップ童話 > 7月のイソップ童話 > 旅人とクマ
7月25日のイソップ童話
  
  
  
  ライオンとクマとキツネ
    むかしむかし、ひげの生えている男と帽子をかぶった男が、2人で旅をしていました。
    ひげの生えている男の方が、帽子をかぶっている男に、
  「おれたちは、友だちどうしだよね」
  と、いったとき、
  「ガォーー!!」と、とつぜん大きなクマが出てきました。
    ひげの男は帽子の男の背中に足をかけると、ヒョイと近くの木に飛び移って、スルスルと高い枝にのぼりました。
    帽子の男はどこへ逃げたらいいのか分からなくて、道にばったりとたおれました。
    死んだふりをすればクマにおそわれない、と言う話を聞いたことがあったからです。
    クマは、くんくん、くんくんと帽子の男のにおいをかいでいましたが、そのうちどこかへいってしまいました。
    それを見て、ひげの男が木からおりてきました。
  「ねえ、きみ、いま、クマがきみに何かいっていたようだけど、なんて言ったんだい」
    帽子の男はこう答えました。
  「クマはこう言ったんだ。あぶないことに出会ったとき、自分だけさっさと逃げてしまうような友だちとは、もういっしょに旅をしない方がいいよって」
    それを聞いたひげの男は、とてもはずかしそうな顔をしました。
  
    本当の友だちは、くるしいときや危険なときに助けてくれる人だと、この話はおしえています。
おしまい