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8月25日のイソップ童話
  
  
  
キツネとヤギ
    キツネが井戸に落ちていると、のどのかわいたヤギがとおりかかって聞きました。
  「この井戸の水はおいしいですか」
    キツネはこまっているくせに、
  「こんなにおいしい水はないから、きみもおりておいで」
  と、ヤギをさそいました。
    するとヤギはよく考えもしないで、井戸の中におりていきました。
    そして、水を飲みおわるとキツネにたずねました。
  「ところで、どうやって井戸の外に出ましょうか?」
  「かんたんだよ。きみが後ろ足で立ってハシゴになるのさ。ぼくはそれをつたって上へあがり、そのあと、きみをひっぱりあげてやるからさ」
    ヤギはキツネにいわれたとおりにしました。
    キツネは「しめしめ」と、ヤギをつたってあがり、井戸の外に出ると、はくじょうにもさっさとどこかへいこうとしました。
    あわたヤギが「おーい、キツネくん。約束がちがうよ。はやくぼくをひっぱりあげて」
  「へっへっへっ、ヤギさん。きみがそのあごひげの数ぐらいたくさんの知恵があれば、あがり方も考えずに井戸の底におりたりはしなかったろうにねえ」
  
    なにかをする前には、まず、後のことを考えないといけない、と言うお話でした。
おしまい