心がジーンとする 日本の感動話 ☆福娘童話集☆ 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
福娘童話集 > ジャンル別 > 日本の感動 > おスマばあさん
お話しの移動
・ 福娘童話集

・ ジャンル別

・ 日本の感動話 (全30話)

→  1話 〜 10話
→ 11話 〜 20話
→ 21話 〜 30話
 


日本の感動話 第18話

おスマばあさん

おスマばあさん

 むかしむかし、ある山おくの村に、おスマさんという、ばあさんがおりました。
 はやくに死んだじいさんのお墓をたてようと、二十年間、ほしい物もガマンして、やっとためたお金を、旅の男にだまされて、きれいに持っていかれてしまいました。
 それ以来、村の者はおスマばあさんのことをバカにしていました。
 ある日のこと。
 おスマばあさんのところヘ、役人がふたりづれでやってきました。
「この村では、酒をつくっておるじゃろう」
「どこの家とどこの家じゃ。ばあさん、知らんかね」
と、聞いてきました。
 この村は貧乏なので、税金の高いお酒を買うことができず、役人にはないしょで、自分たちでどぶろく(にごり酒)をつくっていました。
 役人に聞かれたばあさんは、ゆっくり腰をのばして、
「へえ、旦那(だんな)。ささでこぜえますかい?」
 役人たちは、うなずきました。
 酒のことは、「さけ」の「さ」を重ねた言葉の「ささ」ともいいます。
「それでしたら、この村じゃあ、山の炭焼小屋で、どっさり、つくっておりますだ」
 それを聞いた役人たちは、
(ウッヒヒヒ。きょうは、たっぷり飲めるわい。ろうやに放り込むとおどかせば、金も手に入る。・・・これだから、役人はやめられん)
と、顔を見あわせて、ニヤリとわらいました。
「わるいが、ばあさん」
「そこヘ、案内してくれんか」
「ちょっと待ってくだっせ。むすこがもどってくるまでに、おらあ、飯をたいといてやらにゃならんで、ちょっくらとなりまでいって、米かりてくるでな」
 出かけていったばあさんは、帰ってくると、
「さあ、案内しますで」
 おスマばあさんは役人をつれて、山道をスタコラサッサとのぼっていきました。
 ばあさんのあとから、役人たちはフウフウいいながらついてきます。
「このばばあ、年はとっても」
「ばかに足は早いわい」
と、ブツブツいいながらも、いっしょうけんめいついてきます。
 やっとのことで、山おくの、ふるい炭焼小屋が見えてきました。
 ばあさんは、小屋のほうを指さして、
「旦那。ささは、あそこでつくっておりますだ」
 いわれると、役人たちはかけだしました。
 小屋の戸をあけると、まるで、ころがるように中ヘとびこみます。
 ところが、そこはクモの巣だらけで、どこをさがしても、酒のさの字もありません。
 役人たちは、腹たてて、
「ばば、ばばあ!」
「酒は、どこだっ!」
 すると外から、おスマばあさんが手まねきして、
「ヘえ、こっちでさあ。旦那、はようきてくだせえ。すぐそこにささは、どっさりございますよ」
 役人たちが小屋を出て見ると、おスマばあさんが、でっかい笹(ささ)やぶをゆびさして、
「いい笹じゃろ」
と、いいました。
 そのころ村では、おマスばあさんの知らせを聞いた村人が、どぶろくの入った酒つぼをかくしたあとでした。
 このことがあってから、村の者はだれも、おスマばあさんをバカにしなくなったということです。

おしまい

 前のページへ戻る

ジャンルの選択
・有名な話 日本 世界
・こわい話 日本 世界
・わらい話 日本 世界
・感動話 日本 世界
・とんち話 日本 世界
・悲しい話 日本 世界
・ふしぎ話 日本 世界
・恩返し話 日本 世界
・恋物語 日本 世界
福娘童話集
人気コーナー
きょうの新作昔話
未公開の童話・昔話を毎日
一話ずつ公開
おはなし きかせてね
福娘童話集をプロの声優・ナレーターが朗読
小学生童話
幼稚園から小学6年生まで、学年別の童話・昔話集
おくすり童話
読むお薬で、病気を吹き飛ばそう!

福娘の姉妹サイト

http://hukumusume.com

366日への旅
毎日の記念日・誕生花 ・有名人の誕生日と性格判断
世界60秒巡り
国旗国歌や世界遺産など、世界の国々の豆知識
子どもの病気相談所
病気検索と対応方法、症状から検索するWEB問診