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日本のわらい話 第33話
ものぐさ桃太郎
鳥取県の民話
むかしむかし、おじいさんとおばあさんと、そして桃太郎がくらしていました。
天気のいい日には、おじいさんが山へしばかりに、おばあさんは川へせんたくにいきますが、桃太郎は毎日遊んでばかりいるのです。
そこである日、おじいさんが言いました。
「桃太郎や、お前も大きくなったんだから、小さい子どもみたいに遊んでばかりおらんと、少しは人の助けになることをしないといかんぞ」
「ああ、わかった。じゃあ、出かけてくる」
桃太郎はそういうと、そのままどこかへ出かけていきました。
夕方になり、おじいさんとおばあさんとが仕事から戻ってきても、桃太郎はまだ帰ってきません。
実は桃太郎、何か仕事をしようと、めずらしく山へ出かけていったのですが、いままで一度も木を切ったことはないし、たきぎをひろうことも知りません。
それで一日中、木の根っこをまくらにして寝ていたのです。
目が覚めると、もう夕方でした。
そして、その木の根っこにジャージャーとおしっこをして、根っこの土をやわらかくすると、その木をズボッと根っこごと引き抜いたのです。
そしてその引き抜いた木をかつぐと、桃太郎は家へと帰っていきました。
「じいさん、ばあさん、いま、かえったよ。おら、今日は仕事をしたんだぞ」
と、いいながら桃太郎は、かついできた木を家の屋根にたてかけました。
そして家に入ろうとしたとたん、たてかけた木の重みで、家がミシミシつぶれてしまったのです。
かわいそうに、おじいさんもおばあさんも、つぶれた家の下じきになって死んでしまいました。
桃太郎は、しばらくぼうぜんとしていましたが、やがて気を取り直すと、
「まあ、すんでしまった事は仕方ねえ。それより仕事をして疲れたから、もう寝るとするか」
と、そのままつぶれた家をまくらに、高いびきをかきながら寝てしまったそうです。
なんなんでしょうね、このお話しは。
おしまい
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