福娘童話集 > ジャンル別 > 日本のわらい話 > 二つのおむすび | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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むかしむかし、あるところに、大きなネコと小さなネコが住んでいました。 ある日の事、二匹のネコは二つのおむすびを拾いました。 大きなネコが拾ったのは小さなおむすびで、 小さなネコが拾ったのは大きなおむすびでした。 「お前は体が小さくて、おいらは体が大きいから、体に合う様に、そのおむすびと取り替えてくれ」 「いいや、お前はもう体が大きいから、小さなおむすびでいいんだ。でも、おいらはもっと大きくならないといけないから、大きなおむすびを食べるんだ」 「そんな事はない。むかしから大きな者はたくさん食べ、小さい者は少なく食べると決まっている」 「それなら、どっちの言う事が正しいか、だれかに聞いてみようじゃないか」 「なるほど、どっちの言う事も、もっともだな」 サルは、しばらく腕を組んで考えていましたが、 と、言いました。 「いいとも、賛成」 サルは天秤(てんびん)を持って来て、両端に二つのおむすびを乗せました。 「うむ、こっちの方が、だいぶ重たいぞ」 サルはそう言って、大きなおむすびをパクリと一口食べました。 「まだ、こっちが重たい」 そう言いながら、大きいなおむすびをパクリパクリと食べて、また天秤に乗せました。 すると今度は、小さなネコのおむすびが軽くなってしまいました。 今度は大きなネコのおむすびを、パクリと一口食べました。 「あっちが重い、こっちが重い、今度はあっちだ、今度はこっちだ」 そうこう言っているうちに、 サルはとうとう、おむすびを二つとも食べてしまいました。 二匹のネコはガッカリして、泣きながら帰って行ったという事です。 おしまい |
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