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2月9日の日本民話

わがままな星神さま

わがままな星神さま
島根県の民話

 むかしむかし、隠岐島(おきのしま)に、熱風(ねっぷう)が突然ふき出してきたかと思うと、東の空からまっ赤に燃えた火の石が一個とんできました。
 火の石は海辺の波うちぎわに落ちて、波間から光を発していました。
 石は鳥のような形をしており、六十センチほどの大きさです。
 海辺の人たちは、
「光を見ると、目がつぶれるぞ」
と、家の雨戸をしめて、石の方を見ないようにしていました。
 でも、これでは漁にもでられません。
 困ったことになったと村人たちが思っていると、海辺の村にすむ一人の漁師の夢に、天からふってきた星神(ほしがみ)だと名乗る老人が現れて、
「わたしをあのままにしておかずに、早くどこかにまつるように。それから、光をおそれることはない」
と、告げたのです。
 村の人たちはさっそく、重い星の石を海の中から運んで、砂浜に社(やしろ)をつくってまつりました。
 それから何日かすると、星神だという老人が、またほかの人の夢に現れて、
「あそこは気にいらない。ほかの場所へ移してほしい」
と、いうのでした。
 わがままな星神は、その後も何度も場所をかえさせました。
 そして最後に決まった場所は、島で一番高い山の頂上でした。
 星神は重いので運ぶのに苦労をしましたが、星神は高いところが気にいったようで、それからは何もいわなくなりました。
 星神は、そのころにはもう光を発しなくなっていましたが、山の頂上にまつったときから、島では豊漁(ほうりょう)がつづくようになったのです。
 島の人たちは星神をまつった山を、いつしか「星山(ほしやま)」と呼ぶようになり、豊漁を喜んでいましたが、三年後に別の星神がふってくると、どうしたことか、豊漁はおわってしまったという事です。

おしまい

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