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日本のわらい話 第38話
おかしな手紙
福岡県の民話
むかしむかし、山道でタヌキとキツネが遊んでいると、むこうから風呂敷づつみをかかえた男の子がやってきました。
それを見つけたタヌキが言いました。
「おいキツネどん、あの風呂敷づつみの中には、何が入っていると思う?」
「そうだな。おもちか、おはぎだと思う」
「どうだい。あれをいただいては」
「よしきた。そんなら、ちょっとおどかしてみるか」
キツネは頭の上に葉っぱをのせると、クルリと飛んで、たちまち大入道に化けました。
「やい、そこの子ども! その風呂敷づつみをおいていけ! いうことをきかないと、お前を食べてしまうぞ!」
いきなり飛び出してきた大入道を見て、男の子はビックリ。
風呂敷づつみを投げ捨てて、ころがるように山道をおりていきました。
「あははは。だらしのない子どもだ」
キツネはもとの姿にもどると、その風呂敷づつみをひらきました。
中には、まっ白のおもちがどっさりと入っています。
それを見たタヌキが言いました。
「こりゃ、うまそうだ。二人で食べよう」
でもキツネは、タヌキにおもちをやるのがおしくなりました。
うまいぐあいに、おもちの横に手紙があります。
「まてまて、何やら書いてあるぞ」
キツネは、手紙を取りあげました。
「そうか、なるほど、なるほど」
「キツネどん、なんて書いてあるんだ?」
「自分で読んでみろよ」
キツネは、タヌキに手紙を渡しましたが、タヌキは字が読めません。
「キツネどん、すまんが読んでくれないか」
「いいとも」
キツネは自分も字が読めないくせに、すました顔で読むふりをしました。
「このおもちはタヌキが一つ食べ、残りは全部キツネが食べること」
「ええっ、そんなことが書いてあるのか?」
「気の毒だが、あきらめてくれ」
キツネはガッカリしているタヌキにおもちを一つ渡すと、残り全部を一人で食べてしまいました。
おしまい
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