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日本のとんち話 第20話
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ブッポウソウのこえ
高知県の民話
むかしむかし、土佐の国(とさのくに→高知県)に、たいさくという人がいました。
ある時、たいさくが町に出かけて、
「わしらの山にはブッポウソウというめずらしい鳥がいて、まことによい声で鳴くんだよ」
と、いいふらしました。
すると、それがお城の殿さまの耳にも入ったのです。
「このあたりにも、ブッポウソウがいるとは知らなかった。ぜひ一度、鳴き声をきいてみたいものだ」
殿さまが言うと、家来(けらい)たちが、
「ですが、たいさくという男がすんでいるあのあたりの山には、道らしい道がございません。山に入る事は、とうてい無理にございます」
と、言いましたが、
「道がなければ、道をつくればよいではないか。そうであろう」
「ははーっ! まことにその通りでござます」
家来たちはさっそく、山に道を開きました。
「では、まいるとしよう」
殿さまはカゴに乗って、大勢の家来と山に出かけました。
ところが、鳴いているのは野バトばかりです。
「たいさくを、これによべ!」
殿さまはカンカンに怒って、たいさくをよび出しました。
「へへーっ。およびだそうで」
「これ、たいさく。ブッポウソウの声など、聞こえんではないか」
「いいえ、ないております。ほれ、♪デデポッポゥ、♪デデポッポゥ」
「バカ者! あれは野バトじゃ!」
「そうでしたか。わしはあれがブッポウソウの声かと思いました。しかし、さすがはお殿さま。物知りですな、あははははははっ」
たいさくはしかられましたが、殿さまが山に道をつくってくれたので、山仕事が楽になったと村のみんなから喜ばれたという事です。
おしまい
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