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日本のとんち話 第21話
うそつき名人
岐阜県の民話
むかしむかし、源さんという、うそつきの名人がいました。
ある日、村の田んぼ道を走っているのを見て、村の人たちが言いました。
「そんなに急いでどこへ行くんだ。それよりも、今日も何かうまいうそをついてくれ」
でも、源さんは知らん顔です。
「さすがのうそつき名人も、よほどあわてているとみえて、うそをつくひまもないらしい」
みんなが大笑いしていると、源さんはこわい顔で、
「何をのんきなことを! 庄屋(しょうや)さんが死んだというのに、うそなんかついていられるか! これからとなり村へ知らせに行くところだ!」
と、言って、走っていきました。
「それはたいへんだ! 庄屋さんがなくなったぞ!」
村の人たちはビックリして、次々と庄屋さんの家へかけつけました。
ところが庄屋さんは元気で、楽しそうに庭の手入れをしているではありませんか。
「しまった。また源さんにやられた。さすがはうそつきの名人だ」
村の人たちは源さんのみごとなうそに、すっかりかんしんしたという事です。
おしまい
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