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世界の感動話 第29話
しあわせになった、のらネコ
アメリカの昔話 → アメリカの国情報
むかしむかし、とってもネコの大好きな、おじいさんとおばあさんがいました。
ある日、おばあさんがいいました。
「おじいさん、うちにはネコがいないから、かわいそうなのらネコを一匹飼(か)ってやろうじゃありませんか」
「それはいい考えだ。では、わしがさがしてこよう」
おじいさんは、のらネコをさがしに出かけました。
歩いていくと、むこうから、白くてかわいらしいネコがやって来ました。
「おや? おおっ、なんてかわいいネコだ。おいで、おいで」
「ニャオ」
おじいさんは、ネコを抱きあげていいました。
「だけど、おまえはのらネコじゃないね。まるまる太って、くびにはスズもつけているし。わしはのらネコをさがしているんだ。うちで飼うことにしたのでね」
おじいさんは白いネコを下におろすと、また歩きだしました。
ところが、どうしたのでしょうか。
まったく、のらネコが見つかりません。
おじいさんはくたびれたので、公園のベンチに腰をおろして休みました。
すると、ネコがあっちからもこっちからもやってきて、
「ニャア、ニャア、ニャア、ニャア」
と、いいながら、おじいさんを取りかこみました。
ネコたちは、
「おじいさん、ぼくたちはのらネコです。飼ってください」
と、いっているのです。
集まってきたネコたちには、三毛(みけ→ネコの毛色で、白・黒・茶の3色の毛がまじっているもの)もいますし、白いのも、黒いのも、ぶちも、大きいのも、小さいのもいます。
ネコたちはスズをつけた白いネコから、のらネコをさがしているおじいさんがいるというのをきいて、集まってきたのでした。
「これはこれは、たくさんいるね。一匹、二匹、三匹・・・。なんと、千匹もいる。家に帰って、どのネコを飼うか、おばあさんにきめてもらおう」
おじいさんは、ネコたちを連れて家に帰りました。
おばあさんは、おじいさんのあとからネコがぞろぞろと庭にはいってきたのでビックリ。
「まあ、まあ、たくさんのネコですこと」
「おばあさんや、うちで飼うのは、どのネコにしようかね」
のらネコたちは、じぶんこそ飼ってもらおうと、仲間をおしのけて前に出ようとしました。
「おばあさん、わたしが一番きれいですよ」
「あたしが、一番かわいいよ」
「おいらの声は、とってもいい声だぜ」
「いや、ぼくのほうがりっぱですよ」
ネコたちは、とうとうけんかをはじめました。
ニャア、ニャア、フギャ、フギャ、ギャオ、ギャオと、たいへんなさわぎです。
おばあさんは、あきれていいました。
「そんなにけんかをするネコは、飼うことはできません」
ネコたちは、すごすご帰っていきました。
一番おしまいから、やせこけたぶちネコがついていきました。
このネコは、みんながけんかをしているあいだ、
「ぼくなんか、やせっぽちでみにくいから、だめだろう」
と、庭(にわ)の木のかげで、ションボリとしていたのでした。
「おじいさん、あんなにやせたネコがいますよ」
「あれがいい、あのネコを飼ってやろう」
おじいさんとおばあさんは、やせっぽちのぶちをお湯できれいに洗うと、家の中へ入れてやりました。
ぶちは、おじいさんとおばあさんにかわいがられて、しあわせにくらしました。
おしまい
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