バレンタイン天使バレンタイン特集 世界の恋物語 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
 


福娘童話集 > バレンタイン特集 世界の恋物語 >つぐみのひげの王さま

バレンタイン特集 世界の恋物語

つぐみのひげの王さま

つぐみのひげの王さま

つぐみのひげの王さま
グリム童話 → グリム童話の詳細

♪音声配信(html5)
朗読者 : 淺川 正寛 [声のエンタメ番組『こえんた♪』<http://koenta.seesaa.net>より]

 むかしむかし、ある国に、とてもわがままなお姫さまがいました。
「姫のわがままにも、困ったものだ。しかし結婚すれば、姫も変わるだろう」
 そう考えた王さまは、お姫さまを隣の国の若い王さまに会わせました。
 しかし、お姫さまは、
「何よ、あれ。あごが曲がって、まるでつぐみがひげを生やしているみたいだわ。あんな男、大嫌いよ! ふん!」
と、言って、結婚をことわりました。
 それを聞いた王さまは怒って、お姫さまに命令しました。
「よりによって、人の顔を笑い者にするとは、なんとなさけない! お前は今度来るこじきと結婚して、城を出ていけ!!」
 そして城にやってきた汚いボウシとマフラー姿のこじきと本当に結婚させて、城を追い出してしまったのです。

 お姫さまは泣きながら、こじきの後を歩いていきました。
 途中で大きな森や牧場、それに、にぎやかな都を通りました。
「わあ、きれいな都」
 お姫さまが感心すると、こじきが言いました。
「これはみんな、つぐみのひげの王さまのものさ」
 それを聞いたお姫さまは、
(ああ、こんな事なら、あの王さまと結婚すればよかった)
と、思ったのですが、もうどうしようもありません。

 さて、こじきはお金を持っていないので、お姫さまも働かなくてはなりません。
 そこで、つぐみのひげの王さまのお城に行って、お城の台所で働く事にしたのです。
 でも、家事は何も出来ないお姫さまは、何をやっても失敗ばかり。
「何を、ぐずぐずしているんだい! じゃまだよ!」
「あんた、ほんと不器用だね!」
「そんな事じゃ、お給金はあげないよ!」
 いつも、ののしられる毎日です。

 さて、そんなある日の事、お城でパーティーが開かれました。
 すると突然、つぐみのひげの王さまが台所に現れて、働いているお姫さまに言ったのです。
「お嬢さん、わたしと踊っていただけませんか?」
「えっ? ・・・あの、その」
 ビックリするお姫さまの手を、つぐみのひげの王さまがグイッと引っ張りました。
 そのとたん、服の下からツボが、ゴロンと転がり落ちました。
 そのツボには、食べ物の切れはしが入っていました。
 お姫さまがこじきと食べるため、こっそりためておいた物です。
「ワハハハハッ。何だい、あの娘は」
「あんな残飯を、後生大事に持っているなんて」
 まわりにいた人たちは、大笑いです。
 まっ赤になったお姫さまは転がり落ちたツボを大切にかかえると、そのまま逃げ出そうとしました。
 すると王さまがお姫さまを抱きとめて、ポケットから取り出した汚いボウシとマフラーをかぶって言いました。
「あなたは、わたしの顔を忘れたのかい?」
 そのボウシとマフラーは、あのこじきの物だったのです。
「あっ、あなたは、わたしのだんなさま・・・・」
「そうです。
 わたしはあなたのわがままをなおすため、あなたの父上と相談してこじきになっていたのです。
 今まで、つらい思いをさせてもうしわけない。
 でも、そまつな食べ物でも大切にしているところを見ると、あなたのわがままは、もうすっかりなおったようですね。
 お姫さま、今度はこじきとしてではなく、つぐみのひげの王としてあなたをおきさきにむかえたい。
 どうでしょう、こんな顔のわたしでも、受け入れてくれますか?」
 お姫さまは、驚いたり喜んだり。
 お姫さまは、涙を浮かべながら言いました。
「はい。だんなさま」

 それからお姫さまとつぐみのひげの王さまは正式に結婚して、いつまでも幸せに暮らしたということです。

おしまい

前のページへ戻る

メニュー

福娘童話集 ホーム


バレンタイン特集

バレンタインデーについて

福娘のサイト
366日への旅
毎日の記念日・誕生花 ・有名人の誕生日と性格判断
福娘童話集
世界と日本の童話と昔話
子どもの病気相談所
病気検索と対応方法、症状から検索するWEB問診
世界60秒巡り
国旗国歌や世界遺産など、世界の国々の豆知識