福娘童話集 > お話し きかせてね > きょうのイソップ童話 
         
          
        イラスト myi   ブログ sorairoiro 
         
マムシとミズヘビ  
      
      
        ある泉に、マムシが毎日水を飲みに来ました。 
         その泉に住んでいるミズヘビは、面白くありません。 
        
       「おい、おれの泉の水を飲むなよ」 
        と、ミズヘビはいつも言うのでした。 
        「きみは陸に住むヘビなんだから、あっちに行け」 
         いざこざのケンカは毎日続き、しだいにひどくなりました。 
        「いっその事、力ずくの果たし合いをやって決めようじゃないか。勝った方が、陸も水も自分の物にするんだ」 
         マムシもミズヘビもとうとう決心し、ついに果たし合いの時が来ました。 
        
        すると、それを聞きつけたカエルたちが、マムシのところへやって来て、 
        「マムシさん、しっかりやって下さい。ぼくらはミズヘビが嫌いですから、戦いの日にはあなたの味方をしますよ」 
        と、言いました。 
   
         さていよいよ果たし合いが始まって、マムシとミズヘビが死に物狂いで戦っています。 
        
        カエルたちはそばで、ただ、 
        「ガー、ガー」 
        と、わめき立てるだけです。 
        
        勝ったのは、マムシでした。 
    マムシは戦いの後、カエルたちに、 
        「何だ! きみたちは! 味方をすると言っていたくせに、力を貸さないで歌ばかり歌っていたじゃないか」 
        と、怒りました。 
         すると、カエルたちは、 
        
       「そんな事、わかりきった話でしょう。ぼくたちが味方をすると言うのは、腕力ではなくて声だけの味方なのですよ」 
           
         このお話しは、言葉や声だけの応援では、何の役にも立たないと言う事を教えています。 
      おしまい           
         
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