福娘童話集 > お話し きかせてね > きょうのイソップ童話 
         
          
         
        山賊とクワの木 
      
      
      
       山賊が街道で1人の旅人を殺しましたが、近くにいた人々が追いかけてきたので、手が血で血まみれになったまま逃げました。 
 ところが、向こうからも旅人たちがやって来て、 
        
       「おや、あなたの手はどうして、そんなに赤く汚れているのですか?」 
        と、尋ねました。 
        「いえ、何、今、クワの木に登って、実を取っていたものですから」 
    クワの実は、赤い色をしています。 
        
        山賊がこう言ってごまかしている時、追っての人たちが追いついて山賊を捕まえると、クワの木にしばり首にしました。 
        
        その時、クワの木が山賊に言いました。 
        「お前をしばり首にするのに役に立って、わたしはうれしいよ。だって、お前は人を殺したくせに、手についた血をわたしのせいにしたのだからね」 
   
    生まれつき心のやさしい人でも、悪い奴に濡れ衣を着せられれば、その相手に対して手厳しい事を言ったりするものです。 
      おしまい           
         
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